プロスカウトが絶賛する大学球界の好投手5人。155キロ右腕、タテスラの使い手など大学日本代表候補合宿で魅せた (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 東京六大学リーグで荘司康誠(立教大→楽天1位)ら歴戦の猛者たちと対戦し、オープン戦でも社会人の好投手と対戦している廣瀬の言葉は重い。

 ただし、廣瀬は冨士の151キロのストレートを完璧に捉え、広い坊っちゃんスタジアムの左中間スタンドに放り込んでいる。大学ジャパン主砲候補の面目躍如といったところだが、廣瀬は「ボールが全然見えてなかったんですけど、真っすぐが来るだろうと振ったら(打球が)行きました」と苦笑気味に振り返った。

 一方、冨士本人は「ど真ん中に入ってしまった」と反省の弁を口にした。コントロールが甘いだけでなく、指にかかったボールとそうでないボールの落差も目立った。とはいえ、その存在を知らしめるには十分なパフォーマンスだった。

 大宮東高(埼玉)では投打に注目選手だった島村大樹(現・上武大)の陰に隠れ、背番号19をつけて公式戦登板なし。平成国際大のセレクション受験時に最速138キロだった球速は、大学で17キロもアップした。

「ヒジのケガが多かったので、ヒジを使わずに全身の筋肉を使うトレーニングをしたら球速が上がりました」

 こうした劇的な進化を見せる選手が出現するのも、大学野球の面白いところだ。

タテに変化する2種類のスライダー

 立命館大3年の谷脇弘起が残したインパクトも強烈だった。紅白戦で2イニングを投げて4奪三振。最速149キロの高めのストレートで空振り三振を奪った以外は、すべてタテのスライダーが決め球だった。

 投球練習中からスライダーの変化量と鋭さは目を引いた。打者が立った後も初球からスライダーを連発。谷脇は「キャッチャーの有馬(諒/関西大3年)がブルペンで見て、使ってくれました」と明かす。結果的にスライダーを印象づけたことで、打者の迷いや警戒心を引き出すことに成功した。

 さらに浮き上がってから鋭く変化する、いわゆる「パワーカーブ」のような変化球も印象的だった。本人によると、この球種もスライダー。前述のタテに落ちるスライダーと、打者の目線を変えるカーブのようなスライダーを投げ分けている。

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