プロスカウトが絶賛する大学球界の好投手5人。155キロ右腕、タテスラの使い手など大学日本代表候補合宿で魅せた (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 こうした投球スタイルは、代表監督を務める大久保哲也監督(九州産業大)の求める投手像と合致する。大久保監督は合宿初日にこんなことを語っていた。

「落ちるボールを投げられる投手、あとはカーブなどで緩急をつけられる投手を重視しています。歴代のアメリカ代表を見ても、カーブを使える投手が結果を残しているので」

 主力級の働きが期待される投手たちも、それぞれに持ち味を発揮した。大学日本代表の中心格になりうる実力を持っているのは、松本凌人(名城大3年)、細野晴希(東洋大3年)、常廣羽也斗(青山学院大3年)の3人だろう。

 松本は合宿初日の紅白戦に先発登板し、2回を投げて打者6人から4奪三振と完璧な投球を披露した。

 ノーワインドアップから両腕を先にひねり、サイドハンドの角度から150キロに迫る快速球とスライダー系の変化球を武器にする変則右腕。大学代表候補には1年時から名を連ねる常連だが、いまだ代表選出歴はない。

 ファウルで粘ったもののあえなく空振り三振に終わった辻本倫太郎(仙台大3年)は、松本の投球に舌を巻いた。

「松本とは春も対戦していたのである程度は球種を頭に入れていたんですけど、最後は見たことのなかったツーシームを落とされました。相手が一枚上手でした」

 大久保監督も「秋の明治神宮大会(ベスト4)でもかなりいいピッチングをしていましたし、いいアピールになっているんじゃないでしょうか」と評価している。

東都大学リーグの実力者

 細野は実戦マウンドから遠ざかった影響から「ストレートが全然ダメですね」と自己評価は辛かったが、2回を投げて3奪三振と危なげない投球。最速155キロを誇る快速球はこの日149キロに留まったものの、キュルキュルとミサイルのように回転して捕手のミットに収まるストレートの球質は左投手で群を抜いていた。

 また、細野は代表候補合宿ならではの収穫を口にした。

「キャッチャーの進藤(勇也/上武大3年)がいつもは投げないインコースを使ってくれて、配球で抑えられました。インコースを使うことで次の球が生きて、配球の幅が広がりました。いい勉強になりました」

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