ドラフトで離島の快腕・大野稼頭央の名は呼ばれるのか。調査書は10球団、プロになったら「自分でプランを立ててやっていきたい」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 中学時代は「どちらかと言えば変化球投手だった」という大野だが、高校で地道なトレーニングに励んだ結果、パフォーマンスが劇的に進化する。高校入学時には身長170センチ、体重50キロと頼りなかった体は、高校3年時には身長175センチ、体重65キロとたくましくなった。大野によると、高校1年秋に最速132キロだった球速が、2年春には最速146キロまで伸びたという。

 2年秋には西田とのバッテリーで九州大会準優勝に輝き、翌春のセンバツ高校野球大会に出場。チームは大敗したものの、大野個人としてはスカウト陣に高いポテンシャルを印象づけた。今夏は甲子園まであと1勝届かなかったものの、奪三振を量産。九州ナンバーワン左腕の実力を見せつけた。

今のままではプロで通用しない

 高校野球を引退した今は、体重が68〜70キロまで増えたそうだ。

「練習は行ってますけど、自分のことだけをやればいいし忙しくはないので、ヒマができると何かを食べているんです。久しぶりに体重を計ったら、結構増えていました」

 中学時代と比較すれば劇的に進化したとはいえ、ドラフト候補としてはまだ華奢な部類に入る。だが、それも大野の伸びしろだろう。

---- 自分の完成形が100だとしたら、今はどれくらいだと思いますか?

 そう尋ねると、大野は「まだ50いくかいかないかだと思います」と答えた。

「まだ体ができていないので、今のままではプロで通用しないのはわかっています。3〜4年かけて、プロで活躍できる体と技術を身につけていきたい。スカウトの方にも『じっくり時間をかけながらやっていきたいです』と意思を伝えました」

 超高校級と呼ばれた選手が、プロ入団直後に周囲のレベルの高さに圧倒され、自信を喪失するケースも珍しくない。高校時代に長く伸びた鼻をへし折られ、本来のよさを見失ったままユニホームを脱ぐ例すらある。大野はクールに自分の現在地を把握し、近未来を見据えているようだった。

「ほかの人がやる野球じゃなく、自分の野球なので。ほかの人に負けないよう闘争心を持って練習しますけど、ケガをするのも自分ですからメリハリは必要です。自分自身でプランを立てて、やっていきたいです」

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