京都外大西・西村瑠伊斗の1位指名は? スカウトは「えぐい」と驚愕し、名将は「過去の京都でナンバーワンの打者」と大絶賛 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

「真っすぐを待っていたところにスライダーがきて、少しタイミングをずらされたんですけど、それがいいようになったというか......ほんとならレフト方向へいっていたと思うんですけど、結果、あっち(右中間)へ飛んでいった感じです」

 話のなかで逆方向への自信が伝わってきたので、これまでのホームランの打球方向について聞くと、ここでもとんでもないことをサラッと口にした。

「だいたいレフトが30本ぐらいで、センター10本、ライト10本くらいの感じです」

 じつに逆方向へのホームランが6割......。

「はい。いつも外寄りの球を待っていて、それを打ったら向こう(レフト)に飛ぶことが多いので」

 当然、相手バッテリーは長打を警戒してアウトコース中心の攻めになるのだろが、それにしても6割が逆方向とは。広角に打ち返し、距離を出せる技術も持っているという証だ。

将来のイメージは吉田正尚

 この夏、西村の19打席を見たが、凡打や空振りでも、明らかにスイングを崩されたのはひとつもなかった。すべての球にタイミングを合わし、かつ思いきり振り抜くところに非凡さを感じた。

 打率について聞くと、「たぶん、5割5分くらいです。でも、いつも7割くらい打ちたいと思っていたので、全然満足していません」と表情を変えることなく言った。

 西村の最たる魅力は、この飛距離にして、ボールをとらえる精度の高さを兼ね備えていることだ。プロの世界で言うなら、真っ先にトップモデルとして浮かぶのがオリックスの吉田正尚だ。この先、体を鍛えていけば、吉田のような打者になる可能性は十分にある。

 夏の京都大会での打率.611は、地方大会だから、投手のレベルが......という声もあるだろう。しかし、各大会で4割打者は多くいても、5割となると一気に数は減り、6割超えとなると極めて稀である。打てる球を確実にとらえる技術は、これから先も大きな武器として西村を支えていくだろう。

「これは打ちにいっても打てないなというボールは手を出さないようにして、ボール1個分とか半個甘くきたら絶対に逃さないように。1試合のなかで甘い球はそんなにこないので、きたら確実に打つ。そこはいつも意識しています」

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