京都外大西・西村瑠伊斗の1位指名は? スカウトは「えぐい」と驚愕し、名将は「過去の京都でナンバーワンの打者」と大絶賛 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

 走者が詰まって回ってきた第3打席は、相手バッテリーが最大限の警戒をするなか、左中間をライナーで破る2点タイムリー二塁打。タダモノではないことだけは、その試合の3打席を見ただけで十分に伝わってきた。

スイングスピードは驚異の157キロ

 身長178センチ、体重75キロ。試合後、記者の前に現れた西村は、目立って大柄でも、筋肉隆々でもなく、前髪を少し伸ばした感じの雰囲気は極めて普通の高校生である。男臭さもガツガツ感もなく、"圧"や"オーラ"といった類のものは皆無。

 記者の質問にも上体を揺らしながら「なんて言うんですか......」と小さな声で返していたが、ホームランについて聞かれると「とりあえず(高校通算)55本、甲子園までいけたら60本は打ちたいです」と、そこについてはしっかり主張してきた。

 そのやりとりと聞いて「まだ(その時点で)52本か......」と思ったが、よくよく考えれば、コロナ禍の影響で例年よりも練習試合は少なく、まして京都外大西のグラウンドは左翼93メートル、右翼99メートル、中堅124メートルと広い。その結果での52本だが、それでも西村の実力からすれば少なく感じてしまう。

 また記者からの「スイングスピードは?」の問いに、サラッと「157キロです」と答えた。この20年あまり、関西を中心に取材をしてきた高校生のなかで直接本人から聞いた数値で言うと、これまでの最速は藤浪晋太郎(大阪桐蔭→阪神)と近田拓矢(大阪桐蔭)の155キロ。次いで山田哲人(履正社→ヤクルト)の153キロ。ちなみに、T−岡田(履正社→オリックス)や森友哉(大阪桐蔭→西武)の高校時代は140キロ中盤だった。

 そもそもスイングスピードは、機械やスイングの角度によって数値にばらつきが出るもので、西村の157キロもあくまで参考にすぎないが、この試合での打球は大きな説得力を持たせるものだった。

 4回戦の塔南戦では大会3本目となる一発。本格派右腕の外から入ってくるスライダーをしっかり踏み込み、右中間スタンドへ持っていった。

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