2022.07.12

履正社の名将が母校・東洋大姫路の監督へ。総工費1億4千万円の室内練習場完成で「全国で勝てるチーム」を目指す

  • 谷上史朗●文・写真 text & photo by Tanigami Shiro

60歳で母校の監督に就任

 これまでで最も早い6月25日の兵庫大会開幕を翌日に控えた日の午後。今年春のセンバツ前以来となる東洋大姫路のグラウンドを訪れると、周辺の景色は大きく変わっていた。三塁側奥に総工費1億4千万円をかけ5月末に完成した室内練習場、トレーニングルーム、さらに屋根つきのブルペン。強豪大学を思わせる施設が並んでいた。

 その一角にあるプレハブ造りの建物の2階にある監督室の主も、今年4月から替わった。35年間、履正社(大阪)を率いた岡田龍生が60歳を機に母校・東洋大姫路の監督に就任した。

「こっちへ来て3カ月ほど経ちましたが、選手に野球はもちろん、それ以外のことも教えているところです。まだまだ時間はかかります」

履正社で35年指揮を執り、今年4月から母校・東洋大姫路の監督に就任した岡田龍生氏履正社で35年指揮を執り、今年4月から母校・東洋大姫路の監督に就任した岡田龍生氏 この記事に関連する写真を見る  雇用先は東洋大姫路ではなく、学校法人東洋大学。前監督の藤田明彦もそうだったが、大学職員として出向扱いだ。藤田は監督業のみを仕事としたが、岡田は「生徒の学校での様子も見たいし、学校のなかで応援される野球部にしたい」と、履正社時代と同じく保健体育の授業を持つ。ただこれについては、言わば"ボランティア"だ。

 大阪に自宅があり、妻を残しての単身生活。学校が用意した、3月まで藤田が暮らしていた戸建の住宅に住み、「快適にやっています」と笑ったが、新天地での指導は手探りのようだ。

 公式戦初采配となった春の県大会で準優勝。幸先のいいスタートに見えたが、「センバツに出場したため地区大会が免除。そこに不戦勝もあって、4試合しか戦ってないんです」と苦笑いを浮かべた。試合内容もロースコアの戦いが続き、「打線がねぇ......」と首をひねった。

 ひと息つくと、岡田は壁に飾られた白黒のパネル写真に目を向けた。

「これ、姫路駅の駅前ですよ。想像つきます?」

 一面まさに黒山の人だかり。どこかの国の大統領演説や、ロックコンサートの熱狂を空撮したようにも見える。近づいて見ると、人だかりのなかに小さく映るステージがあり、壇上にはコメ粒ほどの大きさでユニフォーム姿の選手たちが並んでいた。