2022.07.11

山梨の私学3強を脅かす普通の公立校・甲府城西はなぜ県内屈指の強豪校へと成長したのか

  • 高木遊●文・写真 text & photo by Takagi Yu

 甲府城西高校は、普通の公立校でも強豪私学と対等にわたり合えることを証明している学校のひとつだ。

 山梨県大会の今夏の参加校数は33校と東日本で最も少ないが、この8年間は山梨学院、東海大甲府、日本航空の私学3強が甲子園出場を果たしている。山梨に限った話ではないが、そんな私学優勢の風潮において甲府城西は気を吐く存在となっている。

 この8年間の秋・春・夏で計7度の準決勝進出を果たしており、甲子園出場や山梨県の頂点に上り詰めた経験こそないが、今春含めて2度の準優勝もある。

甲府城西の2年生エース・末木賢也を見守る宿澤元樹監督甲府城西の2年生エース・末木賢也を見守る宿澤元樹監督 この記事に関連する写真を見る

指揮官の「外交力」

 甲府城西は1997年春に第一商業と機山工業が統合されて誕生した総合学科高校で、体育科やスポーツ科はない。それでも私学3強に負けず劣らずの成績を残し続けている。

 率いるのは就任11年目の宿澤元樹監督、44歳。前任の塩山(えんざん)高校でも秋の関東大会に導いた実績がある。
 
 前述したように私学でもなければ、伝統や大きな特徴、際立つ施設などはない県立校で、中学時代から誰もが知るような存在だった選手はほぼいない。そのリアルな実情を宿澤監督は包み隠さず話す。
 
「山梨は山梨学院と東海大甲府の両横綱がいて、それに対抗する大関が日本航空、駿台甲府、帝京第三、富士学苑と私立校が続きます。そのあとに公立で伝統ある甲府工があって、そのあとにウチが続いているような状況です。

 やっぱり公立では甲府工に中学硬式の中心選手、中学軟式の県選抜の中心選手が行くんです。ただ成績を残すことで、ウチにも県選抜の選手は増えてきました。ただ、硬式の子は全然増えない(笑)。硬式はいろんな学校から誘われるレベルの子ではなく『進路は自分で決めろ』と言われて、選んで来てくれた子が中心ですね」

 県内にも中学硬式チームが増えてきているが、今春のレギュラー9人中7人は中学軟式の出身だ。