山梨の私学3強を脅かす普通の公立校・甲府城西はなぜ県内屈指の強豪校へと成長したのか

  • 高木遊●文・写真 text & photo by Takagi Yu

 それでも安定した強さを見せているのは、宿澤監督の「外交力」の賜物と言っていい。高校野球の監督としては数少ない山梨学院大OBで「山梨学院の吉田(洸二)監督は大学のOBですけど、あまりいないですからね。"村"に属してない感じです」と笑いながらも、練習試合の相手は花咲徳栄、前橋育英、木更津総合、静岡、佐久長聖など強豪校が並ぶ。

「最初の頃は、ある強豪校に頼んだら『どこも空いていません』なんて言われたこともありました」と苦笑いするが、「県大会初戦で強豪校が負けたらすぐ電話したりもする」と言うように積極的に飛び込み、20年を超える指導歴も相まって、人脈は大きく広がった。

「各県の横綱、大関クラスと交流を増やしていくのは、指導者としての目標のひとつですね。子どもたちもそういうチームとやると公式戦みたいな緊張感で臨んでくれますから、これを1週間ないし2週間に1回は経験させていくと強くなっていきます」

強豪校のエッセンスを吸収

 もちろんいくらスケジュールが空いていたとしても、甲府城西から実りを得られなければ、再び試合は組んでくれない。

 そこで大事になるのが好投手の存在だ。昨年で言えば、秋に山梨学院を破った立役者である滝嶌俊喜(新潟医療福祉大)であり、今年で言えば2年生エースの末木賢也だ。末木はすでにプロのスカウトからも注目を集める逸材である。

 この投手育成力が甲府城西の大きな強みだ。これも宿澤監督とある名将との深い関わりが根幹となっている。
  
 それが全国制覇経験のある花咲徳栄・岩井隆監督だ。塩山での教員2年目の秋に初めて練習試合をやらせてもらったが大敗。その時に「本気で勉強したいなら来い」と言ってもらうと、一時期は毎年、年末に4泊ほど泊まり込みで花咲徳栄を訪れた。グラウンドのみならず、時には当時在学していた若月健矢(オリックス)ら花咲徳栄の選手とともに机を並べて、岩井監督から学びを得た。
 
 とくに投手育成の理論については「30個ほどチェックポイントがある」という。練習はチューブを使ったフォームづくりを基本とし、「これ(ノルマ)ができれば、次のステージ(の指導へ)」と段階を分けていく。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る