山梨の私学3強を脅かす普通の公立校・甲府城西はなぜ県内屈指の強豪校へと成長したのか (3ページ目)
そのノルマは「徳栄の基準だとウチは誰もステージが上がっていかない(笑)」と、甲府城西独自の基準を設けて、選手たちを着実に成長へ導いている。
投球練習中は、ひとりのマネージャーがネットのうしろでスピードガンを使って球速を測り、受けている捕手が精度によって◯(ミットを構えたところに球が届く)△(構えからは逸れたがストライクゾーン)×(明らかなボール)と評価。もうひとりのマネージャーが球速とその評価を1球ずつメモするなど、数値化もして、成長や調子をわかりやすくしている。
投手育成以外にも、打撃理論やハンマーを振り下ろしてタイヤを叩くトレーニングなども岩井監督から教えを得たものだ。
こうして強豪校のさまざまなエッセンスを吸収しチームに落とし込んでいった結果、県有数の強豪校になった。今夏は学校として初、県立校としては2013年夏の日川以来となる甲子園出場を目指す。
「冬にコロナ(感染者)が出て2カ月近く全体練習ができなかったので、春は開き直って"末木におんぶに抱っこ作戦"でした(笑)。夏は複数投手もそうですし、野球としても末木だけに頼りたくない。春のチューリップはうまく咲かせられたけど、夏にひまわりをうまく咲かせられるかどうかですね」
7月12日に初戦を迎える夏に向けて、宿澤監督はさまざまな策を練っている。県内の強豪校から甲子園出場校へと脱皮する瞬間は、今夏やってくるかもしれない。
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