高校で野球をやめるはずが大学でドラフト候補に。名打撃コーチの指導で大阪観光大の久保修が頭角を現した
なぜ、この選手が大学日本代表候補合宿に呼ばれなかったのだろう?
試合を見ながら、何度もそんな疑問が頭をもたげてしまった。才木海翔(大阪経済大4年/投手/右投右打)、金丸夢斗(関西大2年/投手/左投左打)、渡部聖弥(大阪商業大2年/外野手/右投右打)......。まぶしい輝きを放つ逸材が次々に登場する。つい数日前に神奈川県平塚市で開かれた大学日本代表候補合宿に招集された選手と、なんら遜色ない実力者が何人もいた。
6月24日から3日間にわたり、わかさスタジアム京都で開催された大学野球関西オールスター(5リーグ対抗戦)。関西の5つの大学野球連盟がオールスターチームを編成し、トーナメント戦で覇権を争う。コロナ禍の影響でここ2年は休止していたが、今年は3年ぶりに開催された。
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キャッチボールで猛アピール
以前までは一部マニアが興味を示すローカルイベントだったが、その注目度が増している。その理由は、見逃せないドラフト候補が各連盟にひしめくこと。そしてオールスターながら、白熱した真剣勝負が繰り広げられるからだろう。
オールスターで優勝した連盟には、秋の明治神宮大会切符をかけた関西地区大学野球選手権でのスーパーシード権が与えられる。ノーシードならば最低3勝しなければ明治神宮大会の出場権を得られないが、スーパーシードなら1勝すれば出場権が得られる。それゆえ、連盟ごとに団結して呉越同舟の真剣勝負が展開されるのだ。今年の大会は関西学生連盟が優勝し、スーパーシードを獲得している。
球場には多くのスカウトが足を運ぶため、プロ入りを狙うドラフト候補にとっても大きなアピールの場になる。
なかでも注目のドラフト候補だったのが、大阪観光大(近畿学生連盟)の久保修(しゅう)である。身体能力抜群と評判の外野手で、今年に入って一躍ドラフト候補に浮上してきた。
だが、残念ながら久保は右太もも裏の肉離れを発症し、オールスターを欠場する見込みだと知らされていた。それでも試合前の一塁側・近畿学生連盟のウォーミングアップを眺めていると、大阪観光大の背番号1をつけた久保がキャッチボールの列に加わっている。しかも、バックネット裏から向かって手前左と、スカウトによく見える位置で猛烈なボールをビュンビュンと投げ込んでいたのだ。
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