身長194cm、最速150キロ超えの京大医学部・水口創太。理学療法士の資格をとり、「プロで活躍」を目指す (6ページ目)

  • 門脇正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori

プロになるために必要なアピールを

ーー194cmの身長を生かした角度のある150キロ超えの真っ直ぐをはじめ、その投球への注目度が高まっています。現状をどんなふうに捉えていますか?

水口
 だいぶ思い描いたとおりにはなっているかなと思います。ここまでしっかりやってきたから結果がついてきたかなと。ただ4回生が勝負なので、これからですね。やっぱり、防御率だったり、球速もそうですし、プロがどういう視点で自分を見ているのかを考えながら、プロになるために必要なアピールをしたいです。

ーー京大の野球部としてはどんな目標がありますか?

水口 チームはリーグ優勝しかないです。難しいことであるのはわかっているんですけど、可能性はゼロではないと思っています。結果を残す、それだけですね。

ーーチームでどんな役割を果たしたいですか?

水口
 自分が投げる試合を0点で抑える、それだけを考えています。

ーー現時点では、これまでの勉強と野球、両方を頑張ってきた自分に何点ぐらいの点数をつけますか?

水口
 80点くらいですかね。けっこうしっかりとやってきた自信はあるんですけど、まだまだいけると思ってるんで、それくらいです。

ーードラフトで指名されてプロになって、理学療法士の国家試験をクリアできれば、この得点はもっと上がっていきますね。

水口 でも、やっぱりプロで活躍するのが最終目標なので、そこまで頑張っていきたいです。

ーー最後に、自身が貫いてきた文武両道は他の人にもおすすめですか?

水口 けっこう難しいこともあるとは思いますが、やったほうがいいかなと思いますね。でも今は勉強とスポーツ以外にもいろんな道があるので、何かひとつのことを極めるとか、そういうのでもいいとは思います。

ーー文武両道に取り組む中高生にアドバイスを送るとしたら?

水口 目標をしっかり設定することと、先を見据えて今何をすべきかを考えるということが大切だと思いますね。やっぱり闇雲にやっているだけでは長期的な目標は達成されません。ただ完全に両方同時にやるのは難しい部分もあると思うので、いろいろ工夫しながらになりますね。

* * *

 京大は参戦する関西学生野球が創設された1982年以降、春と秋のリーグ戦でほとんど最下位に甘んじている。しかし、今年の春のリーグ戦、初の上位3位にあと一歩のところまで奮闘した。結果は5位に終わったが、ひとつのシーズン最多勝利タイの5勝を挙げた。

 水口投手は5月22日の関西学院大学戦で今年初の先発を務めた。3回2失点で黒星がついてしまったが、スカウトが視察に訪れていたという。

 京大からプロ野球の世界に進んだのは、工学部工業化学科を卒業し、千葉ロッテマリーンズにドラフト2位指名され、2015〜2017年の3年間をプレーした田中英祐投手(通算成績0勝1敗、現三井物産)のただひとり。

 田中投手が果たせなかった一軍での勝利を、水口投手が京大2人目のプロ野球選手になって達成していくことができるのだろうかーー。

【profile】
水口創太 みなくち・そうた 
1999年、滋賀県生まれ。194cm、94kg。右投右打。小学2年の時に野球を始め、北大路中学、膳所高校を経て、京都大学医学部人間健康科学科に入学。京大野球部では3年春にリーグ戦初登板。2023年2月には、理学療法士の国家試験を受験予定。

写真提供/京都大学野球部
編集協力/須賀 和

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