ドラフト戦線で北海道が熱い。脅威の20奪三振男、離島の快速左腕など大勢のスカウトが集結

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 2022年のドラフト戦線は「北海道」が熱い。

 大学球界では菊地吏玖(札幌大谷→専修大)と才木海翔(北海道栄→大阪経済大)と、北海道の高校出身の好右腕がドラフト候補に挙がる。

 新潟の帝京長岡には、北海道出身の茨木秀俊という密かにスカウト陣の注目を集める本格派右腕がいる。

 そして、北海道の高校では好投手が続々と出現している。今春の北海道大会は斉藤優汰(苫小牧中央)、門別啓人(東海大札幌)、坂本拓己(知内)、辻田旭輝(クラーク記念国際)とドラフト候補が目白押し。連日、大勢のNPBスカウトが札幌円山球場へと詰めかけた。

今春の札幌地区予選で20奪三振を記録した東海大札幌の門別啓人今春の札幌地区予選で20奪三振を記録した東海大札幌の門別啓人この記事に関連する写真を見る

東海大札幌の150キロ左腕

 昨年のドラフト会議では北海の木村大成がソフトバンクに3位指名され、一昨年は苫小牧駒澤大の伊藤大海が日本ハム1位、星槎道都大の河村説人がロッテ4位、苫小牧中央の根本悠楓が日本ハム5位でプロに進んでいる。北海道はもともと好投手を輩出する土壌ではあったが、その勢いが加速している。5月26日の北海道大会準々決勝では東海大札幌・門別、知内・坂本というプロ注目サウスポーの対決が実現した。

 門別は今春、驚異の三振奪取能力で話題になった左腕だ。札幌地区予選・札幌新陽戦では20奪三振を記録した。実戦での最高球速は149キロで、春先のブルペン投球では150キロを計測したという。

 報道陣から「将来どんなピッチャーになりたいですか?」と聞かれた門別は、なんのてらいもなくこう答えている。

「自分は誰にも負けない左ピッチャーになりたいです!」

 門別はスケール型というより実戦型の投手だ。スリークオーターの角度から腕が出てきて、キレのあるストレートと鋭く曲がるスライダーで空振りを奪う。自身も左投手だった河原隆一スカウティングディレクター(DeNA)は、こう門別を評した。

「キレのあるボールを両コーナーにきちっと投げられて、フォーム的にもっとよくなる要素も残している。これから楽しみですよ」

 門別は立ち上がりから快調に飛ばしていく。

「今日はキャッチボールから調子がよくて球が走っていたので、自信を持って投げられました」

 バックネット裏に並んだスカウト陣の存在も、「試合に集中することが一番なので」と意識することはなかった。

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