2022.05.30

元日本ハム芝草宇宙もほれ込む逸材。帝京長岡の145キロ右腕は歴史を動かせるか

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

「長岡はいいところですよ。交通の便はいいし、いろんなものがそろっていて生活しやすい。食べ物もよくて、とくにお米がおいしいです。僕はお酒を飲まないんですけど、みんなが『うまい、うまい』と言っているのを聞いているだけでもおいしく感じますよ」

 ぎょろりと大きく印象的な瞳には、やさしい光が宿っている。監督就任3年目を迎えた帝京長岡の芝草宇宙(ひろし)は、新潟・長岡での生活について明るく語った。

2020年から帝京長岡の指揮をとる元日本ハムの芝草宇宙監督2020年から帝京長岡の指揮をとる元日本ハムの芝草宇宙監督 この記事に関連する写真を見る  現役時代はプロの世界で先発にリリーフにとフル回転した投手だった。日本ハム、ソフトバンクとNPBで19年プレーし、通算430試合に登板。日本ハムに入団したばかりのダルビッシュ有(パドレス)に、"プロのボール"を見せつけたのも芝草だった。

<1年目のキャンプ初日、東風平にある球場ブルペンで芝草さんの球をピッチャー側から見て衝撃を受けた>(@faridyu/2019年2月1日のツイート)

 現役引退後は日本ハムの投手コーチ、スカウトを務めた。日本ハム退団後は母校の帝京や、帝京長岡の外部コーチとして投手を指導。2020年4月から帝京長岡の監督に就任した。

芝草宇宙が惚れ込んだ逸材

 帝京長岡はまだ甲子園出場経験がない。だが、芝草監督の就任とともに強化への機運が高まっている。地元・新潟だけでなく東日本を中心に選手が集まり、台湾からの留学生も5人いる。「現役最後に台湾でお世話になった恩返しの意味でも、台湾からチャンスを求める子を引き受けています」と芝草監督は説明する。

 高校生指導の醍醐味を聞くと、芝草監督はこう答えた。

「どんな選手でも可能性を秘めています。自分も『この選手がここまで成長するんだ』と感じたことが何度もありました。すごくやりがいを感じます」

 そんな帝京長岡には、プロスカウトも注目する好投手がいる。

 3年生右腕の茨木秀俊。身長182センチ、体重85キロの本格派で、そのしなかやな腕の振りを見れば、ひと目で逸材とわかる。かつて日本ハムでプレーした芝草監督にとって地縁のある、北海道札幌市の出身だ。