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國學院久我山の監督が語る、甲子園で勝ち抜くチームのつくり方「そこそこできたらOKと思えるようになった」 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

甲子園で勝ち抜くための強化のプロセス

 甲子園出場を目指すチームと甲子園で勝ち上がるチームとでは、強化のプロセスが違うことに尾崎監督は気づいた。

「2019年にはその準備ができていなかった。Aというピッチャーの時は守り勝つ、Bの時は5点取られても打ち勝てる打撃力をつけようとすれば、勝ち上がれる可能性が出てきます。大事なのは、信頼。チームメイト同士にそれがあれば、焦ることなく戦うことができますから」

 甲子園で5試合戦うと仮定すると、レギュラーの9人だけでは戦えないだろう。連戦となれば、コンディション不良や故障の可能性も出てくる。ベンチ入りメンバー全員の総合力が試されることになる。

「そうなったほうが、選手にとっても面白いんじゃないでしょうか。もっと多くの選手が『俺にも出番があるかも』と思えるはずです。その時のために武器を磨いてくれればいい。武器をまとめてどう戦うかは監督が考えます」

 あれから2年半、尾崎監督は甲子園に戻ってきた。複数のピッチャーを起用しながら秋の東京大会を戦い、決勝で二松学舎大付にサヨナラ勝ちをおさめた。

 尾崎監督は自身の指導方法の変化をこう語る。

「監督になって4年目や5年目は、選手の短所を補うことを考えていたような気がします。ストロングポイントを強化するよりもそちらに目が行っていた」

 投げる・打つ・捕る・走るという要素が複雑に絡み合う野球というスポーツで、すべてをまんべんなくこなすのは難しい。

「以前はできないことが許せなかったんですが、いまは『そこそこできたらOK』と思えるようになりました。守備のミスなんかは特にそう。どれだけ守備練習をしても、エラーが出るときは出るもの。甲子園のような大きな舞台になればなおさらです。今は、ゴロをファンブルしても、前に落としてひとつのミスで終わりなら『よし』と思えるようになりました」

 ミスを大きくしないこと、失敗から学ぶことが大切なのだ。

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