國學院久我山の監督が語る、甲子園で勝ち抜くチームのつくり方「そこそこできたらOKと思えるようになった」

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

 3月25日の高知(高知)と國學院久我山(東京)の2回戦。序盤から試合を優位に進めた國學院久我山が四国王者を6-3で圧倒して見せた。初めてのベスト8進出だ。

高知に勝ってベスト8入りを決めた國學院久我山ナイン高知に勝ってベスト8入りを決めた國學院久我山ナインこの記事に関連する写真を見る 國學院久我山の指揮をとる尾崎直輝監督は、選手時代は故障のために、プレーヤーではなく学生コーチ、マネージャーだった。國學院大學に進学後、母校のコーチをつとめ、23歳で監督になった。

 2019年夏、母校を率いて甲子園に乗り込み、初勝利をつかんだ時は、まだ29歳だった。落ち着いた采配で、強豪の前橋育英(群馬)との接戦を制した尾崎監督が言う。

「僕はもともと監督になりたかったわけではないんです。母校を単純に強くしたいという気持ちが強かった。長く甲子園から遠ざかっていたのは事実だし、胸を張れるような状況ではありませんでした。母校に誇りを持てるように、学校全体を勇気づけたいという気持ちでした」

 強豪校の監督には大きな責任とプレッシャーがのしかかるものだが、尾崎監督は初めての甲子園で楽しさしか感じなかったという。

「甲子園で先輩方も勝ったことがなかったので、『やっちゃえ! 勝とう』という気持ちでした。我々の目標は、『歴史を塗り替える』。みんながイメージしやすいように、甲子園で1勝して校歌を歌うことを掲げました。同じことを言い続ければ、力になりますね。甲子園で戦うにあたって、プレッシャーはありませんでした」

 尾崎監督は甲子園で戦ったあと、今後の課題についてこう語った。

「初めて甲子園に出て思ったことは、目標設定が大事だということ。どのレベルを狙って、どんなチームをターゲットにするかによって、練習の内容も質も変わってくるはずです。

 これまでは、夏の西東京大会、秋の東京大会を勝ち抜くために、決勝戦から逆算して練習してきました。ピッチャーは6試合を投げ抜かないといけない。甲子園でベスト8、さらには優勝を狙うとなると、根本から考えを変えないといけないんです。2019年はエースの高下耀介を中心に戦いましたが、ひとりのピッチャーで勝ち抜くのは難しい。主戦投手がふたりか3人は必要になります」

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