阪神ドラ1・森木大智「消えた天才だけにはなりたくなかった」。高校入学時から苦悩と挫折を重ねた3年間 (5ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • photo by Terashita Tomonori

 その言葉は2月下旬、順調に調整を進めていた矢先に左足首をねんざし、ネガティブな思考になりがちな状況にあった森木を支えた。

「周りから見たらおかしな話なんでしょうが、僕はねんざしてうれしかったんです。『何もしない』時期ができたことで、自分を客観視できたし、一から見つめ直して厳選して考えることができるようになったんです」

 森木は、このケガの期間中に「心技体がつながった」といい、ついに「心の中心軸」をつかんだ。

「みんなが練習する表情を見ながら思ったんですよね。なんで俺たちは練習しているんだろうって。そこで導き出されたのは『勝つためにやっている』ということ。それを大前提にすることで考える幅が広くなりました」

 結果、春は明徳義塾との四国大会決勝で自己最速の154キロを出し、初の四国タイトル獲得に貢献した。

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