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元プロコーチもホレた天性の逸材。21世紀枠の快腕がいよいよ甲子園デビュー (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 福島はセンバツでどんな投球を見せるのか。トレーニングの成果もボールに目に見えて表れており、中村の希望はふくらんでいる。プロスカウト陣からの熱視線も浴びることだろう。

 だが、中村は「蓮のピークは絶対にここじゃない」と断言する。

「あいつには伸びしろしかありません。とんでもない素質を持っていますし、ピークは23~25歳くらいにくるんじゃないでしょうか」

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 八戸西から初めてプロ野球選手になった中村は、福島に「次はおまえだ」と言葉をかけている。のんびり、マイペースなところにもどかしさを覚えることもあるが、甲子園での登板が新たな刺激になるのではと密かに期待している。

 不完全燃焼に終わった元プロ野球選手が母校の後輩を育て、甲子園へと導く。ストーリーとしてはできすぎのようにも思える。中村は機会を与えてくれた監督の小川に感謝しつつ、こう語った。

「蓮だけでなく、ほかにも可能性を持った子がたくさんいます。幸いにも21世紀枠で選んでもらいましたが、子どもたちにはこう言っているんです。これを『運』にするか、『運命』にするかはおまえたち次第だって。ただの運ではなく、甲子園では『命』を吹き込めるような戦いをしてもらいたいですね」

 晴れの甲子園初出場、それはエンディングではない。先輩から後輩へ、運命のバトンはつながれた。

(文中敬称略)

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