2021ドラフトの主役となるか。近畿で輝いている4人の大物投手たち

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

 今年のドラフトは佐藤輝明(近畿大)、早川隆久(早稲田大)の大学勢に人気が集中したが、2021年は高校生に好素材が揃い、目移り必至の1年となりそうだ。

 注目選手が揃って出場した秋季近畿大会で評判どおりの力を示したのが小園健太(市立和歌山)だ。

 初戦の東播磨(兵庫)戦は11三振を奪い、1失点完投。新人戦、県大会に続き、今秋3度目の対戦となった智弁和歌山戦は4安打完封。準決勝の智弁学園(奈良)戦は劣勢のなか、リリーフ登板して4回を1安打無失点。3試合で22イニングを投げ、被安打10、四死球3、奪三振21、自責点1と圧巻のピッチングを披露した。

 小園といえば、今年7月の練習試合で152キロをマークして一躍注目を集めたが、3試合を見て感じたのは、ピッチングの多彩さだった。

 たとえば準決勝の智弁学園戦。リリーフマウンドに上がった5回の投球はこうだ。前川右京、山下陽輔の強打の3、4番を含む4人に対し20球を投げ、ストレートはわずか4球。しかも初球から投じることはなく、ストレートの使い方は誘い球、もしくは意表を突いたインコースへの勝負球だった。

 変化球は2種類のツーシームにカットボール、スライダー、カーブ。どのボールも簡単にストライクが取れ、勝負球にもなる。初戦のあと、小園は自らの投球についてこう語っていた。

「自分は三振を取るピッチャーじゃないと思っているので、打たせて取るなかで三振も取れたらいい。マックスのスピードよりアベレージで140キロ台後半から150キロを狙っていきたい。目指しているのは、バッターにいかに途中までストレートと思わせるか。ブルペンでも打者に立ってもらって、どう見ているのか聞くようにしています」

 このコメントだけでもピッチングに対する意識の高さが伝わってくるが、もうひとつ小園の特徴を挙げるとすればテンポのよさだ。手元でスコアをつけていると、顔を上げた時にはもう投球動作に入っている。さらにストライクが先行し、球数も少なく、打者に考える隙を与えない。このあたりについて聞くと、こんな答えが返ってきた。

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