2020.11.22

巨人・原監督の流儀も吸収。アマ球界の
名将となった元近鉄戦士の指導法

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Sportiva

 大久保秀昭は2001年に近鉄バファローズ(現・オリックスバファローズ)を引退後、2005年オフにプロ入り前に所属していた社会人の新日本石油ENEOS(現・ENEOS)の監督に就任。都市対抗で3度の優勝を飾った。2015年には母校・慶応大の監督に就き、5年間で春・秋合わせて3度のリーグ戦制覇を成し遂げ、2019年秋の明治神宮大会では日本一も経験した。そして昨年12月、5年ぶりに社会人野球に復帰し、ENEOSを率いることになった。アマ球界屈指の"優勝請負人"となった大久保氏に、勝つために必要なものは何なのか。また選手育成についても語ってもらった。

昨年12月にENEOSの監督に就任した大久保秀昭氏── 大学と社会人。同じアマチュアではありますが、戦い方、臨み方には違いがありますか?

「まったく違います。目の前の試合をいかに勝つかということは同じですが、あえて違いがあるとすれば精神状態ですね。大学は春、秋のリーグ戦がありますが、勝ち点制で連敗さえしなければいい。もちろん、捨てゲームなどないのですが、負けを覚悟して戦うことができます。

 一方、社会人の大きな大会は都市対抗と日本選手権になりますが、その予選は数試合で、なおかつトーナメント制です。つまり4、5試合のために1年間を費やしているわけです。なので、いざ試合となると、恐怖感というか、独特の精神状態になります。それを意識し、理解したうえでいかに戦い、勝つか」

── 育成という面でも違いはありますか。

「あります。大学生は4年間という限られた時間のなかで伸ばさなければいけない。社会人の場合は1年目から勝負で、年ごとに選別されながら30人前後の集団をつくっていくことになる。自ずと鍛え方も変わってきます」

── そんななか、社会人でも大学でも実績を残されているのはすごいことです。

「いやいや、実際は口で言うほど楽ではなくて......大変なことばかりです(笑)。ただ、2008年の都市対抗で田澤純一を擁して13年ぶりにチームを優勝に導けた時に、勝つことに必要なものというのがなんとなく見えたんです。自分の場合、現役の時は2回優勝していて、オリンピック(1996年アトランタ大会)にも出させてもらって、勝つチームのイメージはありましたが、指導者になってその手応えみたいものがつかめました」