中学では最速114キロの7番手。
学法福島の左腕が成長→ドラフト候補へ (2ページ目)
それゆえに高校入学直後の第一印象について藤森監督は「"控えの投手"っぽさがなく、堂々としていて"関西人だなあ"と思いました」と笑う。
当初はアーム式の投げ方だったが、それを修正して投げ込むとともに、強豪相撲部で四股を踏むなどトレーニングを積み、柔軟性やバランス能力を身につけた。
それよりも大きかったのが、「試合で投げられる喜びです」(辻垣)という気持ちの面だ。中学時代には味わえなかった自らが試合を動かすという感覚を得て、さらに成長は加速。昨年夏の聖光学院戦でもチームは敗れたが、辻垣は好投し自信を深めた。
秋は大会直前の練習試合で打球が顔面を直撃して歯を2本折ったが、それも関西弁で笑い飛ばし、福島の頂点に立てた要因になったと振り返る。
「顔面にバッチンと食らいました。スピードガンのある球場やったんで、球速を意識して調子に乗ってたんやと思います。甘いところに入って、思いきり振り抜かれて。そこからコントールへのこだわりが強くなりました」
こうした前向きな姿勢は日常でも変わらず、会話や取材でも貪欲に話を聞き、質問も積極的にする。
チャレンジ精神も旺盛だ。9月上旬に東京ドームで行なわれたプロ志望高校生合同練習会では、高校野球の公式戦では禁じられている二段モーションで挑み、打者7人に対して1安打5奪三振1四球。許した安打も内野安打の1本のみだった。その時は右打者の外角をうまく使って投球したが、スカウトが学校に視察しにきた際には、逆に右打者のインコースを鋭く突いた。
「辻垣は大事な時ほど思いきりチャレンジができるんです」と藤森監督は感心する。また、ある球団のスカウトも辻垣について「あの子の性格はプロ向きですね」と語っていた。
10月26日のドラフトでは、当然、支配下指名を目指すが、育成でもプロに進むという。中学時代に114キロだった最速は143キロとなり、まだまだ伸びる要素は十分にある。
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