2020.11.04

中日ドラ1高橋宏斗の中京大中京に
「則本二世」の本格派。センバツ出場も濃厚

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 近い将来、則本昂大(楽天)のようなタイプの投手になれたら最高かもしれない──そんな印象を抱きながら投球を見た試合後、期せずして本人の口から「則本投手のような気迫を出すピッチャーが好きです」という言葉が出た。

 投手の名前は畔柳亨丞という。馴染みがなければ難読の名前だが、「くろやなぎ・きょうすけ」と読む。

秋季東海大会を制した中京大中京のエース・畔柳亨丞 中日ドラフト1位指名の高橋宏斗を擁した中京大中京に、新たな速球派右腕が現れた。SASUKE名古屋ヤングに所属した中学時代は侍ジャパンU-15代表に選出。高校2年秋時点ですでに最速151キロをマークしており、球速だけなら同時期の高橋よりも速い。

 身長177センチ、体重80キロと厚みのある体から、強く腕を振って140キロ台中盤の球速をコンスタントに叩き出す。中京大中京の高橋源一郎監督は畔柳について「とにかくボールの強さがあります」と称える。たしかに畔柳のストレートはホームベース付近でも失速することなく、捕手のミットを強く叩く。しかも、低めに生きたボールが集まるのだ。

 10月31日、東海大会準決勝。勝てば翌春の選抜高校野球大会(センバツ)出場が濃厚になる大事な一戦で、畔柳は快刀乱麻の投球を見せた。

 強打の三重高を相手に「8割くらいの力で低めに丁寧に投げることを意識した」と、制球重視の投球で快調にアウトを重ねる。6イニングを投げ終えた段階で10奪三振。許したランナーは死球の1人のみで、ヒットは1本も許さなかった。三重高の4番を打つ品川侑生(ゆうせい)はこう証言する。

「オープン戦でも対戦していて、真っすぐを狙っていたんですけど、思った以上に伸びてきました。球速はそうでもないんですけど、キレと伸びがありました」

 打線が奮起して6回までに7得点を挙げたため、畔柳が無失点に抑えれば最終回となる7回。一死から品川が打ち上げた平凡なフライをショートとレフトが譲り合って、二塁打にしてしまう。だが、畔柳の頭には「あくまで勝つことが目標なので、勝てればなんでもいい」と勝利の2文字しかなかった。最後の打者を空振り三振に仕留め、11奪三振完封でチームに勝利をもたらした。