甲子園出場後に高校中退。そこから
プロを目指す「生意気な」右腕の個性 (2ページ目)
10月7日、ソフトバンク三軍との交流戦では、6回を投げて被安打3、奪三振8、与四球2、失点1の好投。「高校時代に練習試合で対戦して、たしかエンタイトルツーベースを打たれていたので意識しました」という増田珠(横浜高出身)を3つのフライに抑え込んだ。
体は小さくても、マウンドでの態度はやけにふてぶてしい。それは高校時代から変わらなかった。戸田にそんな印象を伝えると、「相手はみんなすごい選手たちですけど」と前置きして、こう答えた。
「ピッチャーやっている以上、気持ちの部分で負けたらいけないので。常に相手のバッターより上に立って、上から見るというか。もしプロ(NPB)に行くならここで打たれていたらダメなので。ここを完璧に抑えてこそ、上に行けると思っています」
第1打席で変化球をレフトスタンドに運ばれた黒瀬健太に対しては、2打席目に外のカットボールでバットを折りショートゴロに打ち取った。戸田は「いい修正ができました」と負けん気の強さを滲ませた。
今季からインディゴソックスを率いる吉田篤史監督は、冗談めかして「生意気なヤツですよ」と戸田を評して、こう続けた。
「でも、若いうちはそれくらいがいい。いい子なだけじゃダメだし、負けず嫌いじゃないと。戸田はマウンドでそれが見えます」
その言葉を聞いて、ふいに頭によぎったのが山岡泰輔(オリックス)だった。東京ガス時代の山岡は、チームの先輩から親しみを込めて「小僧」と呼ばれ、実績のある年長捕手のサインに平気で首を振る投手だった。体格といい、内面といい山岡を彷彿とさせるが、戸田は「そう見てもらえるのはうれしいです」と言ったきり乗ってこない。
誰かに似ていると言われるより、自分の個を認めてもらいたい思いが強いのではないか。そう聞くと、戸田は力強く「そうですね。まさにそれです」と答えた。自分は自分、他人は他人。強烈な自我の持ち主なのだ。
最大の魅力は20歳という若さだろう。吉田監督は「全体的にまだボールが高いので低めに集められるようになれば、ハイリリースな角度をより生かせて打ちづらくなる」と課題と期待を口にする。
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