2020.08.20

尽誠学園の強さの秘密。バッテリーが急成長した「参謀」の指導法とは

  • 寺下友徳●文 text by Terashita Tomonori
  • photo by Kyodo News, Terashita Tomonori

甲子園で球児たちに聞いた「白いスパイクの効果」とは?>> 


8月17日、甲子園交流試合で智辯和歌山に勝利し喜ぶ尽誠学園の選手たち
「うどん県」香川県の西南部にある善通寺市。ここにはふたつの名物がある。まず、市名の由来でもあり、空海創建・弘法大師三大霊場のひとつ「善通寺」。もうひとつは、尽誠学園高校。近年ではNBAでプレーする渡邊雄太を輩出し、野球界には伊良部秀輝さん(元MLBニューヨーク・ヤンキースなど)、谷佳知さん(元巨人・オリックス)、田中浩康(元ヤクルト・横浜DeNA・現DeNA二軍守備走塁コーチ)など多くのプロ野球選手を送り込んできた名門校である。

 しかし、現在の尽誠学園野球部に関しては「かつての」が付いて回る。夏は1989、92年に甲子園ベスト4入り。センバツでも2001、02年と2年連続ベスト8入りを果たすも、近年は16年夏の甲子園初戦で作新学院・今井達也(現・埼玉西武)に5安打完封負け。振り返れば、甲子園勝利はベスト8入りした02年夏以来なし。伊良部さん寄贈のスコアボードをはじめ、数々のプロ野球選手からの寄贈品に囲まれたグラウンドも最近はどこか寂しげだった。

 そんな状況を打破するように昨秋は香川県大会優勝・四国大会準優勝を果たし、18年ぶりのセンバツ出場の切符を手にした尽誠学園。冬場のロングティーなどの練習で飛距離を伸ばした打線に加え、守備は父も同校野球部OBの遊撃手・仲村光陽(3年)を中心に堅守を誇った。だが、「甲子園で校歌を歌い、ベスト4以上で新たな歴史を創る」を旗印にした矢先、待っていたのが「コロナ禍」であった。

 センバツ中止。そして夏の甲子園中止。仲村と二遊間コンビを組む主将・菊地柚(ゆず)いわく「どん底まで落ちた」。しかし、西村太監督はそんな中にあっても次なる舞台に向かう準備を進めていた。

「自分にはチーム、選手を育てると同時に指導者を育てる役割もあると思っています。なので、まだ20代前半の津田(空知)コーチ、岡尾(拓海)コーチと僕とをつなぐ指導者の存在は以前から必要だと思っていました」(西村監督)