尽誠学園の強さの秘密。バッテリーが急成長した「参謀」の指導法とは (5ページ目)

  • 寺下友徳●文 text by Terashita Tomonori
  • photo by Kyodo News, Terashita Tomonori

 そして最後の仕上げは西村監督。「県大会と甲子園交流試合は違う大会。昨秋の四国大会に入るイメージを大切にした」と、1番には独自大会では9番だった菊地を起用。独自大会では3打席3三振も常にベンチを盛り上げてきた川﨑風汰(3年)も「秋は彼で勝ってきたし、打撃の状態も上がってきた」と7番スタメンに抜擢した。

 さらに、独自大会では登板のなかった谷口颯太(2年)を、智辯和歌山の右の大砲・徳丸天晴(2年)封じの切り札としてセットアッパーに加えた。

 全ての準備は整った。

 村上は初回こそ1点を失うも、以後は、内角を攻めながらスクリューなどの変化球を使っていく橘のリードに導かれ、7回6安打6奪三振1失点。打線は「データがあったので信じて踏み込んで打てた」という仲村の適時打で追い付くと、2回裏は一死満塁から「9番から1番に上がったことで思い切ってバットが振れるようになった」と、菊地の走者一掃の二塁打で勝ち越した。

 その後も「相手の(最速152キロ右腕の)小林(樹斗・3年)が出てくるまでにできるだけ点を取る」とのプランどおり5回までに8得点。そして予定どおり谷口が8回。仲村が9回を締め、尽誠学園が8対1で智辯和歌山に勝利した。「最終大号令」として6月に誓った「香川県独自大会をぶっちぎりで勝ち、甲子園で圧勝して校歌を歌う」ことを達成した。

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