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甲子園なき名将たちの苦悩。
独自大会は「勝利」か「3年起用」優先か (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 他方、西東京で日大三と覇権を争う東海大菅生は、ここまで登場した強豪のなかでは異彩を放つ戦いぶりを見せている。

 7月29日の初戦・駒場学園戦では2年生が3人先発メンバーに入り、3年生を優遇することなく実力主義で戦った。7対0の8回コールド勝ちを収めた試合後、若林弘泰監督は「各チームの監督さんの方針があるんでしょうけど」と前置きしたうえで、こう語った。

「ウチはまったく例年どおりやっています。お情けでベンチに入れるのはどうなのかなと思っているので。3年生の甲子園はなくなりましたが、それは1、2年生にとっても1回なくなったのは同じこと。ただ、ベンチ入りメンバーの入れ替えはできるので、試合展開によってはあまり出番のなかった3年生も使おうと思います。それは例年もやっていることですから」

 どの監督の考えが正しく、間違っているというものではない。甲子園という大きな目標に向かって取り組み、未曾有の疫病に翻弄された選手の姿を間近で見てきた監督だからこそ、その悩みは深い。今年の夏は、例年以上に勝負と温情の狭間で葛藤する指揮官たちの姿がある。

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