ついに小学生年代で球数制限。野球界の未来が変わる分岐点となるか

  • 粂田孝明●文 text by Kumeta Takaaki
  • 共同写真企画●撮影

 昨今、大船渡高校・佐々木朗希の「故障を防ぐため」の登板回避や、アメリカで導入されている投球制限ガイドライン「ピッチスマート」など、投手の投げすぎや夏場の連投にさまざまな意見が飛び交い、大きな注目が集まっている。

マクドナルド・トーナメントの全国大会で出場全選手の肘・肩検診を実施マクドナルド・トーナメントの全国大会で出場全選手の肘・肩検診を実施 この動きに敏感に反応し、全国規模で対策を講じた団体がある。それが全日本軟式野球連盟で、小学生年代約12,000チームが加盟する国内最大規模の野球組織だ。今夏、その連盟が主催する全国大会「マクドナルド・トーナメント」で、球数制限が導入された。1日の球数を70球に制限するとともに、8月18日の開会式後には、出場全選手約1,000人の肘と肩の検診も行なった。問題が見つかった選手には医療機関での受診も促している。

 この導入については、慎重な議論が重ねられてきた。ワールドベースボールクラシックも、オリンピックも、プロ野球も、そのほとんどが優勝を最終目標にしている。大人の世界では、勝利至上主義が大前提として受け入れられているのだ。

 小学生レベルの大会であっても、1試合でも多く勝ち、優勝を目指すのは当然のこととして考えられている。優れたピッチャーが力の限り投げ続け、相手を抑える。それが勝利の大きな要因の一つになっている。球数制限は、それを根底から覆すことになりかねない。全日本軟式野球連盟の宗像豊巳専務理事はこう語る。

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