2019.08.19

歴史的不作にスカウトはガックリ。
スピード、パワー偏重の野球に喝!

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「スカウトをして10年近くになりますけど、今年はドラフトにかかりそうな選手が一番いない大会です」

 開口一番、あるスカウトはこうボヤいた。大阪桐蔭の根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、報徳学園の小園海斗(広島)のスターが揃った昨年とは対照的に、今年はスカウトにとって物足りない大会だったようだ。さらに、前出のスカウトはこうも言う。

「そもそもBIG4(大船渡/佐々木朗希、星稜/奥川恭伸、横浜及川雅貴、創志学園/西純矢)が甲子園に出てきたとしても、今年の高校生はとにかく候補者が少ないんです」

どのスカウトも絶賛する星稜のエース・奥川恭伸 そんななか注目を一身に浴びたのが、星稜の奥川恭伸だ。初戦の旭川大高戦は、わずか94球の3安打完封。さらに救援登板した2回戦の立命館宇治戦は自己最速となる154キロをマーク。そして3回戦の智弁和歌山戦は、延長14回をひとりで投げ抜き3安打1失点、23奪三振と格の違いを見せつけた。

「1年生の時から駆け引きができていた。相手打者が打ち気にはやるとボール球でかわし、打つ気がないと見るや真ん中に投げてストライクを取る。去年は相手が打倒・奥川で向かってくるところをムキになって勝負していたように感じたけど、3年生になってまた駆け引きができるようになってきた。真っすぐもよくなっているし、3球団ぐらいが1位で指名するんじゃないかな」(パ・リーグスカウトA氏)

「昨年の秋から今年の春、そして夏と、見るたびによくなっている。腰高のフォームを気にする人もいるけど、とくに問題はないと思います。あれだけのボールを投げるのにコントロールもいいというのは、しっかりしたフォームで投げられている証拠。力みがなく、『点を取られなきゃいいんでしょ』という感じで、ゆとりをもって投げている。大会前に伝えられていた調子の悪さは、まったく感じませんでした。しっかり結果も残しているし、1位で競合するでしょう」(パ・リーグスカウトB氏)

「四天王と言われたほかの投手が甲子園に出られないなかで、出てきたこと自体が評価できる。やっぱり、大舞台で結果を残せるというのは魅力ですよ」(セ・リーグスカウトD氏)

「しっかりボールを叩いて投げられているので、ストレートがシュート回転しないし、角度もある。フォームに力みがないし、バランスもいい。なによりコントロールがすばらしい。高校生のレベルは頭ひとつ抜けています」(セ・リーグスカウトE氏)