2019.08.21

星稜・奥川恭伸vs履正社打線。
打者有利の夏に新たな伝説は生まれるか

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 星稜・奥川恭伸対履正社打線──。

 今大会、32回3分の1を投げ、45奪三振、自責点0の奥川をチーム打率3割6分1厘、本塁打も6本記録している強打の履正社打線がどう攻略するか。これが第101回大会決勝の最大のポイントになる。

 履正社打線が大きく飛躍するきっかけとなったのが、今春センバツの初戦・星稜戦の屈辱だ。奥川の前に3安打17奪三振と手も足も出ず、完封された。岡田龍生監督は言う。

「奥川くんと対戦してトップレベルがわかった。あのレベルを打とうとやってきたことが、この夏の成果につながっている。やってきたことは間違いない」

 どうすれば全国トップレベルの投手を打てるようになるのか。履正社の各打者を見れば、工夫し、試行錯誤したことがよくわかる。

圧倒的なピッチングでチームを牽引する星稜のエース・奥川恭伸 センバツで奥川の前に3打数0安打2三振に抑えられた1番の桃谷惟吹(いぶき)は、春はやや足を上げて打っていたが、ノーステップ打法に変更。重心を低く、グリップの位置を低くしたことで目線がぶれず、バットの出もよくなり、安定感が増した。

 同じくセンバツで奥川に4打数0安打2三振と封じられた4番の井上広大はトップが深く入るようになり、ボールとの距離を取れるようになった。これらのフォームの改善に加え、例年より技術練習を減らし、筋力トレーニングに時間を割いたことでパワーアップ。どこからでも本塁打が出る打線に変貌した。

 今大会の初戦では、霞ケ浦の最速148キロ右腕・鈴木寛人からの3発を含む5本塁打。7番の西川黎(れい)、8番の野上聖喜(いぶき)も本塁打を放つなど、成長のあとを見せた。

 さらに準決勝でも明石商の151キロ右腕・中森俊介に11安打を浴びせ、5得点を奪って攻略。今大会を代表する速球派右腕を打ち込んだことで自信を深めている。

 課題はバントと走塁。履正社にとってバントはお家芸だが、明石商戦では2度の送りバントを失敗。津田学園戦も失敗2つ、関東一戦、霞ケ浦戦もそれぞれ失敗1つと決まっていない。