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大島と八丈島。「離島の連合チーム」が
秋の都大会に勝ち進んだ意義 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 そんな両校が1つのチームになる。それには大きな困難が伴った。同じ離島同士といっても、伊豆大島と八丈島は直線距離で約180キロも離れている。船の直行便もなく、合同練習などそうやすやすとはできなかった。

 それでも大島高校のメンバーが八丈島に赴き、両校の合同練習が企画された。ところが、船を乗り継いで遠路はるばる八丈島に到着したとたん、彼らはとんぼ返りを余儀なくされる。

「大型の台風が接近していて、いつ帰れるかわからなくなってしまうので......。もちろん練習はできず、彼らとの最初の顔合わせはたった20〜30分だけでした」(赤澤監督)

 その後、彼らが再会したのは9月10日、多摩工業高校のグラウンドでだった。翌日は秋の一次予選初戦。大事な公式戦の前日に、彼らは初めて同じグラウンドで同じボールを追った。たった1回の合同練習で公式戦に臨まなければならなかったのだ。

 その練習後、宿舎で食事中でのこと。大島高校、八丈高校の間である"戦い"が勃発した。それは両チームに分かれての「一発ギャグ対決」。大島高校の主将を務める柳瀬翔夢は、このイベントがチームの距離を縮めたと証言する。

「はじめは顔も知らずにうまくやっていけるのか不安もあったんですけど、一発ギャグ対決もあってうまくなじめました」

 八丈高校の西濱は一発ギャグ対決で、大島高校の選手が練習中に見せた珍プレーを再現し、爆笑をさらったという。

「ウチは2人しかいないので、大島も2人代表者が出て対決したんですけど、八丈が勝ちました(笑)。審査員は先生がやってくれました。大島の1年生で土谷(境悟)って子がいるんですけど、彼がすごく芸達者でギャグを教えてもらったりして、仲良くなりました」

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