箱根駅伝でシード権を争った4校の明暗。故障者も多いなかで勝負を決めたのは「選手層」と「調整力」 (2ページ目)
【選手層の厚さで苦境を乗り越えた東洋大】
10位でシード権を確保した東洋大は、レース前から厳しい戦いが予想されていた。エース松山和希(3年)に続いて、出場予定だった九嶋恵舜(3年)と熊崎貴哉(3年)が戦線離脱したからだ。
2区終了時で19位と大きく出遅れたが、主将・前田義弘(4年)が5区で奮起する。目標タイムを9秒上回る1時間11分21秒(区間5位)と激走して、チームを14位から11位に押し上げた。
さらに8区・木本大地(4年)も区間賞の快走。7区終了時点でシード圏内まで1分45秒あった差を33秒まで詰めると、9区・梅崎蓮(2年)が東京国際大と城西大をかわして9位に浮上。最後は3年連続のアンカーとなった清野太雅(4年)が18年連続シードを死守した。
酒井俊幸監督は「苦しい2日間でした。12月に入り、コロナとインフルエンザ。さらに疲労骨折者も出たんです。練習が抜けている選手を起用せざるを得ず、チグハグしたオーダーになってしまいました」と振り返った。チームは危うい状態だったが、昨年5月の関東インカレで10000mとハーフマラソンでトリプル入賞を果たした選手たちが、層の厚さを見せてカバーした形になった。
次は「暗」。東京国際大は今季、故障者が多発して苦しい戦いが続いていた。出雲駅伝は前年Vメンバー4人を欠いて8位。全日本大学駅伝も、イェゴン・ヴィンセントと山谷昌也(ともに4年)の欠場が響いて11位に終わった。
箱根では主力が復帰し、山谷が2年連続の1区(区間10位)を務めると、ヴィンセントは4区で区間新記録を樹立。しかし、うまく流れをつかむことができなかった。往路優勝を目論んでいたチームは往路を7位で折り返す。復路は6区・吉住颯(2年)で9位、7区・山岸柊斗(2年)で11位に転落。前回9区で区間9位だった主将・宗像聖(4年)も8区で区間19位に沈み、シード権に1分32秒届かなった。
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