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【自転車】片山右京「ツール・ド・フランスへの最短距離とは?」 (3ページ目)

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

○=出場できる。△=出場できる場合がある。×=出場できない(上位カテゴリーチームは出場しない)○=出場できる。△=出場できる場合がある。×=出場できない(上位カテゴリーチームは出場しない) これら3つのレースには、いずれもプロツアーチームが参戦しているが、前回にも説明したとおり、プロツアーチームの主戦場はあくまでも「グランツール」や「クラシック」などのワールドツアー(WT)である。彼ら自転車ロードレースの頂点を争うチームが北米や日本のレースも戦うのは、UCIのルール上、プロツアーチームは各コンチネンタルツアーのHCやクラス1のレースへ参戦することが可能、とされているからだ。

 このプロツアーチームに準ずる格式として存在するのが、「プロコンチネンタルチーム」と呼ばれるチーム形態だ。プロコンチネンタルチームの場合は、各コンチネンタルツアーのHCやクラス1のレースが年間の主戦場となる。ワールドツアーのレースも、主催者推薦等のワイルドカード枠を手にすれば参戦が可能だ。とはいえ、そのプロコンチネンタルチームもライセンス発給等の審査では、プロツアーチームよりも多少は緩やかとはいえ、UCIが定める厳しい条件をクリアしなければならず、チーム運営に関してもUCIからの強力な管理を受ける。

 一方で、各コンチネンタルツアーのクラス1やクラス2のレースを戦うコンチネンタルチームの場合は、主として各国連盟にコントロールされている。そのため、チームの運営管理等の条件は比較的緩やかではあるのだが、コンチネンタルチームの場合にはワールドツアーのレースに参加できない、という決定的な相違点がある。

 つまり現在のところ、コンチネンタルチームとして日本国内やアジアを主戦場とするTeamUKYOがワールドツアーのグランツールやクラシックレースに参戦する資格を得ようとするならば、まずはUCIからプロコンチネンタルチームのライセンスを発給されることが、その必要条件になるだろう。その際には、組織規模や財務、実績等の面で従来よりもはるかに高いものを要求されることはいうまでもない。

 サイクルロードレースの歴史上、過去に純日本国産チームがプロコンチネンタルチームとして登録されたことは、今までに一度もない。

 TeamUKYOが目標にしているのは、それほどまでの難関だ。純日本国産のチームにとって、ツール・ド・フランスに参戦するための切符は、超級山岳の激坂の果てに待つ山頂ゴールの、さらにまだその向こうの高みにある。

 だが、彼らが真の頂点を目指すのであれば、そこはいつか必ず通過しなければならない場所でもあるのだ。

(次回に続く)

著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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