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【自転車】片山右京「ツール・ド・フランスまでの高い壁」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira photo by AFLO

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第5回】

「2017年にツール・ド・フランスに参戦する」。TeamUKYO率いる片山右京は、そう宣言した。しかしなぜ、参戦するタイミングは3年後なのか。それには、自転車ロードレースの仕組みを理解する必要がある。世界最高峰レースへの門戸は、誰にも平等には開かれていないのだ......。

(前回のコラムはこちら)

チーム・ユーロップカーの一員としてジロ・デ・イタリアを走る新城幸也(右から2番目)チーム・ユーロップカーの一員としてジロ・デ・イタリアを走る新城幸也(右から2番目) 本稿が公開される5月19日は、グランツールのひとつ――ジロ・デ・イタリアが佳境を迎え、最高潮の盛り上がりを見せている時期だ。

 97回目のレースとなる今年のジロは、北アイルランドのベルファストで開幕した。ベルファストとダブリンで序盤3日間のステージを終えた選手たちは、イタリア本国へと舞台を移し、6月1日にスロベニア国境のトリエステで最終日を迎えるまで、3週間に渡ってイタリアを縦断しながら激戦を繰り広げる。今年のジロには、レースの本場欧州で活躍するふたりの日本人、新城幸也(29歳/チーム・ユーロップカー)と別府史之(31歳/トレック・ファクトリー・レーシング)が参戦している。「日本人初のグランツール・ステージ(区間)優勝を彼らが果たして達成するのか」ということにも、多くのファンから熱い注目が集まっている。

 このジロ・デ・イタリアと、ツール・ド・フランス、そして8月下旬から9月にかけてスペインで行なわれるブエルタ・ア・エスパーニャの3つのレースを、「グランツール」と呼ぶ。いずれも、3週間以上の期間をかけて行なわれる自転車ロードレースの最高峰だ。総合優勝が至上の栄誉であるのは当然だが、各開催日のステージ優勝も難易度が高く、ステージで1勝でも挙げた選手は、その後のレースキャリアで一生食いっぱぐれがないとも言われる。

 余談になるが、現在、TeamUKYOに所属する土井雪広(30歳)は、日本人で唯一、ブエルタを2年(2011年・2012年)続けて完走した選手である。

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著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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