【新車のツボ137】スズキ・スイフト、安い、軽い、速い(軽いから)の三拍子 (2ページ目)
というわけで、今年初頭に発売された最新型のスイフトも欧州風味を押す。ピョコンと立ち上がったフロントウインドウや縦型ランプ、大径タイヤ......といった、これまでのデザインテイストも忠実に守っている。
スイフトは数ある国産コンパクトカーでも比較的小さな部類に入るが、新型では(わずかだが)さらに小さくなったのがツボである。
クルマという商品はある程度ヒットすると、販売現場からは「室内がせまい、トランクに○○が入らないと、お客にいわれた」だの「もっと高級にすれば、もっと売れる」だのと、大型化圧力がどんどん高まるものなのだ。そういう圧力に屈して必要以上に立派になって、いつの間にか本来のツボが失われてしまう例は枚挙にいとまがないが、スイフトはその正反対。
もっとも、スズキも販売現場の声を無視したわけではなく、そこにバレーノ(第125回参照)という別モデルをあてがうことで、スイフトはスイフトらしいままでいられるようにしたのが見識である。
新しいスイフトは小さいうえに、メチャクチャ軽い。同じクラスの他社平均値より、おおざっぱに約100kgも軽い! これは素直にスゴい。
スイフト......というかスズキのエラいところは、アルミやカーボンなどの高価な素材はまったく使わず、昔ながらの鉄素材だけで、その驚きの軽さを実現した点である。鉄の値段はなんだかんだいって"キロあたりいくら"の世界だから、これは「鉄のボディを軽くすれば、運動性能や燃費が良くなって、コストも下がる」という考えでもある。
こうしたケチケチ思想(この場合はホメ言葉である)もスズキ伝統のツボである。
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