投資教育を1年間受けた高校野球部生の人生は? 「株式投資か起業か就職か」

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

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 集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、経済に関するさまざまな話を聞いてきた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と1年生部員の野球小僧・鈴木一郎。ふたりは1年近くにわたり、株式投資をはじめ、さまざまな投資活動について学び、投資家的思考法について学んできた。

 由紀は大学受験を控え、正式にはすでに野球部からは抜けていたが、放課後は毎日のように部室に顔を出し、雑談のかたわら、後輩たちにさまざまなアドバイスをしていた。推薦で私大に入ることもできたが、留学制度が整っていることで有名な大学にチャレンジしようと思ったのだ。ただ、成績は学年でもトップクラスで、難関大学への受験にも焦りはなかった。

 鈴木は野球の練習に熱心に取り組みながらも、「お金」「ビジネス」「成功」について漠然とした好奇心を持ち続けていた。今の自分に何ができるかを考えていたが、奥野先生の話を聞いているうちに、「すぐに焦ってバイトを詰め込んで稼ぎまくる」ことも「貯金を元手に投資を始めて一攫千金を狙う」ことも、ちょっと違うような気がして、あらためて何をすべきか考え込むのだった。

 ここ数回、ふたりは実践編として、野球などのスポーツに関するビジネスに携わる方法について考えをめぐらせ、さらに自分たちでアイデアを出して事業を起こす(起業)ことまでシミュレーションしてみた。だが、奥野先生が挙げた起業を成功させるための条件は、高校生にとって(というより、ほとんどの人にとって)あまりにも厳しいもので、たじろぐふたりだった。

 そして前回、奥野先生は「会社員も、起業するくらいの情熱と主体性を持たなければ成功できない」と言って終わった。果たしてその真意は?

鈴木「起業なんて難しいことは考えず、ラクな道を探そうかなと、一瞬、思ったんですが......」
由紀「どっちにしろ、そんなに甘くないってことですか」

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