投資教育を受けている高校の野球部生徒が「リスク」と「リターン」を学ぶ 「月利3%は詐欺です」 (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【高すぎる利回りは詐欺】

奥野「うん、この手の話は結構たくさんあるんだけど、まあ、はっきり言うと詐欺だね。

 日本政府が借金をするために発行している国債の利回りは年0.3%弱。これは日本国内で、最も安心してお金を貸せる相手に対して請求できる金利水準ということで、『安全利子率』って言うんだ。

 安全利子率は、全くリスクを取らずに儲かるリターンはいくらになるのか、ということなので、今の日本ではリスクを取らない限り、リターンは得られないことになる。ということは、安全利子率が0.3%弱という今の日本で、安全確実に年利36%などという資産運用は絶対に成立しないんだ。

 みんなも18歳で成人になったら、いろいろな契約を自分の意思でできるようになる。この手の詐欺事件は結構多いから、安全利子率を覚えておいて、そこから大きく乖離するような金利を提示してきたら、それは詐欺だと考えるようにしておいたほうがいいね」

【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。

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