投資教育を受けている高校の野球部生徒が「リスク」と「リターン」を学ぶ 「月利3%は詐欺です」
奥野一成のマネー&スポーツ講座(26)~リスクとリターン
野球部の顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、経済に関するさまざまな話を聞いてきた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。前回は「先生、どんな株を買えば儲かるんですか」という鈴木のストレートな質問から、株価がどういう理由で上がったり下がったりするのかという話になった。
ひと口に「投資教育」と言っても、人によって受けるイメージはさまざま。大人たちも高校生に何を教えたらいいのか、試行錯誤しているところがある。「株式投資」のようなものに、どこまで踏み込めばいいのかという議論もオーソライズされているとは言い難い。
ただ、好奇心旺盛な由紀と鈴木は、株価の具体的動きに興味が尽きなかった。お金が増えたり減ったりすることが身近に感じられて、スリルのようものを感じたからだろうか。
鈴木「株価がどうして上下するのか、難しくてよくわからなかった部分もあるけど、それを予想するには、いろいろなことを知らないといけないということはわかったかな」
由紀「もっと勉強したくなってきたわね」
ふたりは学校のパソコンを開き、高校生に向けて作られた投資教育用のサイトを見ていた。そこには「まずはじめに」として、基本的な投資の用語の解説が書かれていた。
由紀「最低、このくらいは知っておかないといけないということね」
鈴木「たとえば......リスクとリターン? リスクって『危険性』という意味でしょ。リターンは『返す』『返却』だっけ? 英語が得意じゃない僕でも、それくらい知っているよ」
「確かに英語のリターンを日本語に訳すとそうなるよね」と言いながら、奥野先生が会話に加わってきた。
奥野「だけど、投資の世界で使われているリストとリターンは、ちょっと意味が違うんだよ」
由紀「じゃないかと思いました。どんな意味で使われるんですか?」
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