投資教育を受けている高校の野球部生徒が「リスク」と「リターン」を学ぶ 「月利3%は詐欺です」 (3ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【「ハイリスク・ハイリターン」の理由】

奥野「由紀さんが株式を100万円分持っているとしようか。急に現金100万円が必要になったものの、手元に預金が10万円しかなかったら、とりあえず株式を売るよね。

 でも、由紀さんが持っている株式を売ろうとしても、それを買いたいという人がいなければ、いつまで経っても売ることができず、現金も手に入らない。まあ、持っている株式が上場企業の株式であれば、買い手がいなくて売れないなんてことは滅多にないんだけど、上場されていない非上場株式だと、自分で買い手を見つけてこなければならない。これを『流動性リスクが高くなる』と言うんだ。

 また時価総額と言って、発行済株式数に株価を掛けた金額が1兆円を超えるような大型株は、あっという間に売れるんだけど、時価総額が100億円に満たない小型株の場合、株価を安くしないと売れない、なんてこともある。これが流動性リスクです。

 信用リスクだけど、これはとても簡単で、要するに投資した先の財務内容が悪化して、倒産するリスクのこと。株式は、それを発行している会社が倒産してしまうと、価値がゼロになってしまうことがある。

 資産運用のリスクについては、このように価格変動リスクと流動性リスク、信用リスクの3つを理解しておけば十分かな」

鈴木「ハイリスク・ハイリターンってよく言われているけど、リスクが高いとリターンも高くなるんですか?」

奥野「『ハイリスク・ハイリターン』について言うと、金融の世界において、リスクの高いものは高いリターンが期待できるはずなんだ。なぜなら、高いリターンが期待できないのにリスクは高いなんて投資先には、誰もお金を出さないでしょ。だから基本的に、リスクの高いものは高いリターンが得られるはずだという前提で、マーケットが成り立っているんだ」

鈴木「先生、時々SNSに月利3%で安全確実にお金が増えますといった宣伝が出てくるんだけど、これってどうですか」
由紀「私も時々、同じような宣伝を見るよ。1カ月で確実に3%ってことは、年に直すと36%」

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