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投資教育が始まった高校で野球部の生徒が学ぶ「株式が投資で、FXが投機である理由」 (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【違いは対象物が価値を生むかどうか】

奥野「そう。確かに、投資も投機も損をすることはある。でも、投資と投機は根本的に違うものなんだ。

 たとえば株式とFXを対比させてみようか。FXはForex(Foreign Exchange)の略称で、つまり『外国為替取引』のこと。君たちもテレビなんかで『今日のドル円は1ドル=135円で取引を終了しました』というニュースを耳にしたことがあるんじゃないかな。

 じゃあ、株式とFXは、どっちが投資で、どっちが投機なのだろう?」

鈴木「両方とも投資でしょ。だって、テレビニュースなんかで取り上げられるくらいだから。博打の情報をニュースで取り上げていたら、それはヤバイでしょ」
由紀「私も同意見。それに、為替について、どっかの銀行の偉い人がニュースで話していたし、それが競馬と同じものだとは考えられません」

奥野「そうだよね。きっとそれが普通の人の感覚なんだと思う。とりわけ日本人は、為替も投資と思っている人が大勢いるのだけど、実は為替って投資じゃなくて投機なんだよ。

 じゃあ、投資ってなんだってことになるんだけど、投資と投機の違いは、"対象物が価値を生むものかどうか"という点に尽きるんだ。

 企業が発行する株式を持つのは、企業のビジネスを所有するのと同じってことは、これまでも何度か言ってきたから理解できているよね。

 では、企業は何のためにビジネスをするのだろう。それは、世の中に何か不便さを感じていたり、もっと便利にならないかなと思っていたりする人がいて、その人たちの思いに応えるため、企業は製品やサービスを開発して提供するんだ。今まで『ああ、不便だな』とか『面倒だな』と思っていた人は、それを解決する製品やサービスが提供されれば、企業に対して『ありがとう』って思うでしょ。このありがとうの数が『価値』なんだ。

 ありがとうの数がどんどん増えていくと、それにともなって企業の価値が上がっていく。その価値が上がる分だけ、企業の所有権を表す株式の価値も上がっていく。結果、株式の価値である『株価』が上がったり、配当金が増えたりするんだ。

 つまり株式投資は、企業が生み出す価値を買っているのと同じであり、だから『投資』であると言える。

 一方、為替は価値を生んでいるのかということになるんだけど、確かに『FXで大儲けしちゃった』って言う人がいるから、話がややこしくなるんだけどね」

由紀「でも、為替レートって毎日、動いているんですよね。値上がりしたら、それは価値を生んでいることになるんじゃないですか」
鈴木「そう考えると、為替も投資ってことになる......」

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