投資教育が始まった高校で野球部の生徒が学ぶ「株式が投資で、FXが投機である理由」

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(17)~投資と投機の違い

 集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、2回連続で「企業をどう見るか」について話を聞いた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。特に前回のヤクルトという企業を例にあげた際には、プロ野球ファンがヤクルトを見る目と、投資家がヤクルトを見る視点がずいぶん違うことを知った。

 ではその投資と、若者はどう向き合えばいいのか。まさに高校で始まった投資教育のキモだろう。3学期が始まって学校が再開、野球部の部室では由紀と鈴木が冬休みの話をしていた。

鈴木「年末ジャンボ、買いました?」
由紀「買ったけど、やっぱり当たらなかったわ」
鈴木「僕も。だいたい当たらないってわかっているのに、人はなぜ宝くじを買うんだろう」
由紀「お母さんは『買わない限り、絶対当たらないから』と言ってた」
鈴木「一理ある、のかな? うちの父さんは年末、有馬記念に投資して負けたと言ってました」
由紀「それって投資って言うの?」

 そこに入ってきた奥野先生。今年度から始まった高校生の投資教育だが、「投資」の定義がはっきりしないことには心もとない。

奥野「どこから説明しようかな。

 株式に投資するという話をすると、『株なんて博打みたいなもんだ。やらないに越したことはない』って言う人が必ずいる。

 おそらくこういう人は、『儲かるかもしれないけれども、損するかもしれない』ものは全部、『博打』だと思っているんだろうね。でも、投資と博打は全く違うものだし、別な言い方をすると、博打は『投機』という言葉に置き換えることもできる。投機=博打なのかどうかについては、厳密に言えばちょっと違うかもしれないけれども、今日のところはまず"投資と投機(ほぼ=博打)はまったく違うもの"であることを、説明してみようか」

由紀「投資と投機。どっちのほうがトクをするというような問題じゃないっていうことかしら?」

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