20歳で46度の世界一のシゲキックス。ブレイキンの魅力は「肌の色とか、性別とか関係ない。みんなが仲間」 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「実際、競技化されている部分があって、つい技術を磨こう磨こうとしていた時期がありました。それも必要なことではありますが、そればかりに気を取られすぎて、逆に自分のスタイルが見えなくなっている状況がありました」

 野球やサッカーなどのスポーツであれば、フィジカルを鍛え、技を習得することは、好成績につながる近道だろう。しかし、Shigekixはブレイキンを「アートに近い」と語るように、芸術性が求められることもあり、フィジカルや技術を上げるだけでは勝てないと感じている。そのために必要なことを今改めて問い直している。

「常に何かに興味を持つことと、インスピレーションを求めることを、大事にしていきたいなとすごく感じているところです。実はそれを忘れかけていたんですよ。自分の殻に閉じこもってしまうと、客観的に物事を見られなくなってしまいます。新しいところに足を運んだり、自分とまったく違うことをやっている人と話をしたりすることが、自分のスタイルにいい影響をもたらすと思っています」

 Shigekix は常々「僕は24時間、B-BOYとして生きている」という。その他競技のトップアスリートは、自身が取り組むスポーツで最高のパフォーマンスを発揮するために、24時間をデザインしている選手が多いだろう。ただB-BOYは、それにプラスして、ファッションやライフスタイルも含め、HIPHOPカルチャーを体現する生活を送っている。さらに、自分らしさを形づくるために、新しい何かを探し求めている。
 
 それがステージのうえで自身のスタイルとして表出される。Shigekixも「その都度、自分の内側から湧き出るものを表現するというところに、最終的には行きつく」と語る。その「湧き出るもの」を養えるのが、普段の生活や活動なのだろう。

ブレイキンという国

 ブレイキンという共通言語のなかで生きるB-BOY、B-GIRLの多くが、四六時中HIPHOPカルチャーにどっぷりと浸かっていることもあり、心の底からブレイキンを愛している。それはShigekixも認めている。

「僕の感覚で言うと、B-BOY、B-GIRLがいるブレイキンという国がある感じですね。ブレイキンが大好きという共通点があって、肌の色とか、性別とか、年齢とか、出身地とか、何も関係ないですね。ブレイキンという同じものを愛しているんですから、みんな仲間です」

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