20歳で46度の世界一のシゲキックス。ブレイキンの魅力は「肌の色とか、性別とか関係ない。みんなが仲間」 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「五輪はすごく大事な大会だと思っています。最近では現役のアスリートの方との交流も増えてきて、そんな方々から、いつも通りの気持ちで、ありのままの自分で、等身大で挑むことが大切だという助言をいただいています。パリ五輪まで全力で駆け抜けて、最後の1日は楽しみたいです」

 ステージ上で見せる激しい動きとは対照的に、20歳とは思えない落ち着きと優しい笑顔を見せるShigekix。その瞳からは、パリ五輪金メダルに向けたブレることのない芯の強さが感じられた。

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ブレイキンはアートに近い

 Shigekixが幼い頃から情熱を注いできたブレイキン。パリ五輪での採用で一気に注目を集める競技となったが、スポーツというフィルタで見た時、ある意味、特殊なカテゴリーに属する。

 ブレイキンはHIPHOPカルチャーのひとつで、試合を行なう場合は、1対1や2対2、あるいはチーム対チームのバトル方式となる。これはその起源が関係している。1970年代初頭のニューヨーク・サウスブロンクス。当時はストリートギャングたちが縄張り争いを行なっており、たくさんの命が奪われていた。そんなギャングたちが、殺し合いをせずに勝負する方法として、ブレイキンでバトルを繰り広げるようになったという。

 そのため体操やフィギュアスケートのような採点方式による順位付けのスポーツとは相いれない性質を持ち、どちらかというと東京五輪で実施されたサーフィンの対戦に近い。ただブレイキンはHIPHOPカルチャーをどう音楽に乗せて体で表現できるかというのが、大きなウェートを占める。

 スポーツ的な側面を数値で評価をすることはイメージできるが、カルチャーを数値化することは、容易ではなさそうだ。実際、ジャッジの面でまだ課題が存在している。日本独自の評価審査方式はあるものの、世界ダンススポーツ連盟(WDSF)としての明確なジャッジシステムはない。現在、その制度設計に取り組んでいるのが実情だ。

 Shigekixもユース五輪やパリ五輪での採用というこの時代の流れのなかで、感じていることがあった。

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