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鈴木聡美が語る33歳で現役続行の理由 「まだやんの、私?と思わないわけではない(笑)」 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao

【「競泳は10代がピーク」は本当か】

「だって周りが『33歳だし、そろそろ引退では』と、勝手に思っているだけで、我々はそもそもそういう仮定でやっていたわけではないですから(苦笑)。鈴木も『やめます』なんてひと言も言っておらず、『今後は?』と聞かれたから『続けます』と言っただけですよね。

(競泳は10代がピーク?)確かにバルセロナ五輪で岩崎恭子さんが金メダルを獲りました。でも、10代がピークというのは思いこみですよ。かつては、たとえば社会人になったときに競技を続けていける環境がなかったということもありますし、選手の多くは自分の限界を知らずやめていったはずです。

 他の競技を見れば、学生時代に優秀だった選手が、社会人(プロ)になって質が高く、ハードな練習を積み、成果を出すというのが一般的ですよね。それが水泳だけ違うというのは私には疑問です。競泳選手にとって33歳という年齢は、もちろん若くはありません。それでも、年齢を重ねて結果を出している選手は世界的にもいますし、いまはどんな競技でも選手寿命は延びていることを考えれば、競技を続けられる環境さえあれば、まだ記録が伸びる可能性は否定できないと思っています」(神田監督)

 平泳ぎ100メートルで14年ぶりに自己ベストを更新した2023年の世界選手権(福岡)に続き、24年はパリ五輪選考会および本大会であらためてその力を示した鈴木。そのひとつのきっかけは、22年末のジャパンオープンでの絶不調を経て、23年以降、ストロークのテンポを上げたことにあったという。

――最初は、それまでの大きなフォームからストロークを増やすことに抵抗があったそうですね。

「ストロークを増やせば、そのぶん終盤に失速する可能性もありますから。それでも監督やトレーナーから『聡美ならできる』と言われたことでトライしたことがスタートでした。一歩踏み出せば、あとはやるだけですから」

 不器用なぶん、一歩を踏み出すのには時間はかかるが、一度ものにすれば、それを努力でさらに磨くことができるのがスイマーとしての鈴木の魅力かもしれない。

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