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大橋悠依「もっと前から泣いてれば」
結果と感覚のズレに悩んだ7日間 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 二宮渉●写真 photo by Ninomiya Wataru

 最終日の400m個人メドレー決勝の入場では、観客席に向かって笑顔を見せていた。大橋は、その理由をこう話す。

「今大会は、入場したあとに周りに手を振ったり、チームメイトの応援に応えるようなこともできなかったので、やっぱり自分で余裕を作っていかなければいけないと思いました。これから東京五輪に向けて、自分が引っ張っていきたいと思っている中で、もっとできることもある。だから、400mの前にはそれくらいやって気持ちを高めないといけないなと思いましたし、一緒に練習をしてきたメンバーに対してもいいレースを見せたいという思いがありました」

 このレース直前までは、なかなか自信が持てず「どうしようか」と考えていたと言い、平井伯昌コーチや一緒に練習をする東洋大のメンバーに送り出されるときに泣いてしまったという。

「平井先生からは『レースの前に泣くなよ』と言われたけど、泣いてかなりスッキリしたので、もっと前から泣けばよかったなと思いましたね(笑)。かなり気持ちが楽になりました」

 そこまで苦しんだ大橋のように、今大会の女子は全体的に結果を出せずに終わってしまった。昨年と一昨年まであった派遣標準IとIIの下にあった標準記録が今年はなくなって、ハードルが高くなったこともあるが、女子の個人種目での標準突破は大橋の2種目に加えて200m個人メドレー2位の大本と、200mバタフライの長谷川涼香(東京ドーム)の3名のみ。男子は瀬戸と200m平泳ぎの渡辺一平(TOYOTA)が標準Iを突破しているが、女子は標準IIのみという結果だ。

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