【マラソン】レジェンド瀬古利彦、黒田朝日をはじめ若手の台頭に大いに期待「いつまでも大迫じゃないだろうというところを...」 (3ページ目)
【今後期待する選手たち】
――別府大分毎日マラソンの後、男子マラソン国内記録100傑で瀬古さんの記録(2時間08分27秒・ボストンマラソン・1986年)がついに100位になりました。かつての日本記録が40年の時を経て100番目になった。
「長かったね(笑)。日本記録を何度も塗り替えるのが私の目標だったんですけど、1986年の一度しかできなかった。その後、中山(竹通)さんに超えられた時は悔しかったなあ......。でも、記録は破られるためにあるものなので、どんどん超えていってほしいですね」
――3月1日の東京マラソンには、日本記録保持者(大迫傑)と前日本記録保持者(鈴木健吾)も出場します。ふたりのベテランに期待することは?
「大迫君と鈴木君のふたりには日本記録を更新して、若い奴らにはまだ負けないというところを見せてほしいですね。30歳を超えてもこれだけやれるんだぞ、ついてこい、と。でも、若い選手にも、いつまでも大迫じゃないだろうっていうところを見せてほしいです。そうやって、みんなでレベルアップしていってくれるといいですね」
――厳しい目で見れば、大迫選手の持つ日本記録(2時間04分55秒)は、世界の100傑にも入っていません。
「ケニア、エチオピア勢とは体のつくりが違うので、走ることに関しては彼らが上なのは間違いないですし、まともに戦うと勝つのは難しいです。昨年のベルリンマラソンを2時間02分16秒で優勝したサバスティアン・サウェ(ケニア)なんて相当強いですよ。いずれ2時間を切るでしょう。
そういう選手にタイムで追いつこうにも、練習の工夫でどうこうできるレベルを超えていますからね。でも、勝負となれば話は別。気象条件が厳しいなかでは、戦える状況も出てくる。最近は、学生を含めてケニアに合宿に行く選手が多いですけど、ケニア人の練習への取り組みや環境、ハングリー精神を学ぶのはいいことですよ。日本人は甘いし、いろいろ文句ばかり言いますけど、ケニア人は文句も言わずに練習していますから。
そこで気持ちを入れ替えて、競技に向き合うことでプラス面が出てくると思うので、学びはすごくあると思います。それをレベルアップに生かして勝負できる選手がひとりでもふたりでも出てきてほしいなと思います」
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瀬古利彦(せこ・としひこ)/1956年生まれ、三重県桑名市出身。四日市工業高校から本格的に陸上を始め、インターハイでは800m、1500mで2年連続二冠を達成。早稲田大学へ進み、箱根駅伝では4年連続「花の2区」を走り、3、4年時には区間新記録を更新。トラック、駅伝のみならず、大学時代からマラソンで活躍し、エスビー食品時代を含めて、福岡国際、ボストン、ロンドン、シカゴなど国内外の大会での戦績は15戦10勝。無類の強さを誇った。オリンピックには1984年ロサンゼルス大会(14位)、1988年ソウル大会(9位)と二度出場。引退後は指導者の道に進み、2016年から2024年まで日本陸上競技連盟の強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(マラソンリーダー)を務め、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を設立し、成功に導いた。現在はDeNAスポーツグループのフェロー。自己ベスト記録は2時間08分27秒(1986年シカゴ)
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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