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【箱根駅伝2026】渡辺康幸の視点:力は拮抗も打倒・青学大を果たせなかったライバル校(早大、中大、國學院大) その差は地力ではなく「噛み合い方」 (4ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文 text by Yutaka Makino

【打倒・青学大にはちょっとしたミスも許されない】

 今回、17位までが10時間台とさらに高速化が進む結果となりました。2年連続で追い風になり、気温も2ケタにいくか行かないくらいで好条件や厚底シューズの進化も影響しています。5区の黒田選手のみならず、花の2区でもヴィクター・キムタイ選手(4年)が1時間4分台に迫る区間新記録(1時間05分09秒)をマークしました。世界のフルマラソン、ハーフマラソンの流れを見ても、この高速化は今後さらに進んでも不思議ではありません。

 今大会を終えた時点で、来年度の打倒・青学大候補として名前が挙がるのは、早大、國學院大、中大、順大でしょう。駒大については、強力な4年生が抜ける穴を、現在の3年生以下から何人のエース候補が埋められるのかがカギになります。

 ただ、ここ数年、4年生がごっそり抜けた時も「次回の青学大は厳しい、次回はライバルのA、Bが優勝候補」という趣旨の予想をしても、結局は青学大が勝つという構図が繰り返されてきました。

 とはいえ、今年度は本当に予想が難しいシーズンでした。エントリーメンバー上位10名の10000m平均タイムが上位だった中大と青学が距離の短い出雲を取れず、國學院が2連覇を果たし、出雲で悪かった駒大が全日本で強さを見せつけ優勝。さらにその駒大は、箱根にうまく合わなかった。最終的には青学大の圧勝ではありましたが、5区途中までは、確かに競り合いは続いていました。

 この流れのなかでは、1秒、2秒の判断が順位を大きく左右します。指導者も、よりシビアな決断を迫られる時代になりました。そのなかで青学は、リスクを管理しながら最大値を引き出すことに成功し続けている。だからこそ、あれほどの結果につながったのだと思いますし、12大会のうち9回総合優勝という比類なき戦績を残している。

 青学大を止めるためには、どの大学もいっさいの無駄を許されない。今回の箱根駅伝は、その現実を強く印象づけるものだったと言えるでしょう。

⚫︎プロフィール
渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、福岡ユニバーシアードでは10000mで優勝を果たし、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪10000m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、大迫傑が入学した10年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説でもおなじみで、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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