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【箱根駅伝2026】早大がルーキー3人起用の出雲駅伝で2位好走 今季こそ「選手層の薄さ」を克服できるか? (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【駅伝で優勝できるという感触をつかめた】

 主将の山口智も、これからが勝負だと言う。

「出雲は優勝を狙っていたので、2位という結果にみんな満足できないと思うんですけど、(駅伝で)優勝できるという感触をつかめたレースになったので、そこは次につながるかなと思います。全日本、箱根と距離が長くなるので、そこに対する不安があるのかもしれないですけど、みんなでチーム一丸となって優勝を目指してやれたらと思います」

 過去、早大は選手層の薄さに泣かされてきた。スポーツ推薦で多くの選手を獲得できない状況なので、必然的に強化のスタート時点では他校と差がある。とりわけ中間層の底上げは毎年の課題だ。

 今、花田監督のチームづくりが徐々に開花しつつあるが、指揮官は慎重だ。

「出雲はうちの3区、4区、5区ががんばったけど、それでも他校とはその区間での力の差があったのかなと思います。(國学院大の)前田(康弘)監督と話しましたけど、3区の野中(恒亨)君(3年)、4区の辻原(輝)君(3年)がすごくよかった。辻原君は区間新ですからね、うちはそこに対抗できる選手を置けなかった。優勝するためには、こういう厳しい戦いでミスせずに走らないといけないとあらためて感じたので、しっかり準備していきたいと思います」

 出雲は少数精鋭で戦えたが、全日本と箱根はそうはいかない。出雲を走った選手以外、例えば、9月開催のThe Road of WASEDAの5kmでよい走りを見せた伊藤幸太郎(4年)、宮岡凜太(4年)、さらに出雲ではエントリーから外れた山口竣らがどの区間に配置されるか。そして、ダブルエースの山口智と工藤がどれだけ期待に応える走りをできるか。今季の大学駅伝は「W」に注目だ。

>>>出雲駅伝で全区間5位以内、過去最高の3位に入った創価大は「吉田響の抜けた穴」をどう埋めたのか?

著者プロフィール

  • 佐藤 俊

    佐藤 俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。近著に「箱根5区」(徳間書店)。

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