【箱根駅伝2026】早大がルーキー3人起用の出雲駅伝で2位好走 今季こそ「選手層の薄さ」を克服できるか? (2ページ目)
【ダブルエースも期待通りの走り】
ルーキー・トリオはそれそれで仕事をしたが、今回の2位に大きく貢献したのは、2区の山口智だろう。10位で襷を受けてから9人抜きでトップに立った走りは、今季の山口智の強さを象徴するようだった。
「絶対に区間賞を獲らないといけないプレッシャーがありました。最初はいけるところまでいって、3km以降はちょっと休みながらいこうと思ったのですが、(創価大の)小池(莉希)君(3年)がうまく引っ張ってくれたので、そのままいかせてもらいました。最終的に落ち着いたタイミングで前に出て、区間賞を獲れたのはよかったなと思います」
山口智はそう言って、ホッとした表情を見せた。そして、エースの走りに刺激を受け、トップを猛追したのは最終6区の工藤だった。向かい風のなか、突っ込んで入ったが、前を行く國学院大との43秒差は重かった。
「最初、突っ込んで入って、そのまま耐えるというのが駅伝特有の文化だと思うのですが、そこで自分の足がもたなかったのは、駅伝的なところで強くなかったということだと思います。ただ、収穫としては、先頭が見える位置で、ひとつ勝負を仕掛けられたことかなと思っています」
工藤は、区間3位だった。区間賞は青山学院大のエース・黒田朝日(4年)が獲ったが、黒田が10位で襷を受け取り、それを勝ち取ったことを工藤はどう見たのか。
「自分は優勝争いをしているなかで突っ込んだので、タイム的な伸びしろはまだあると思うんです。でも、後ろの順位でスタートした人は、昨年の自分がそうだったんですけど、自分の走りをすることができるんです。そういう意味では、黒田さんのほうが有利な部分があったのかもしれないですけど、そこで区間賞を獲るのは、やっぱり力があるということだと思います」
工藤らしい解説だが、そう話す表情からは悔しさが読み取れた。三大駅伝の初戦で2位になり、今季の早大の強さを実感させるレースを披露した。だが、これから全日本大学駅伝、箱根駅伝と続く戦いの厳しさを予測しているように、選手たちの表情に喜びに浮かれている感じはなかった。
工藤は、こう話す。
「今季の早大の強みとして、爆発力があると思います。(山口)智規さんのような走りがまさにそうだと思いますし、区間がハマったところは走れていました。そういう爆発力を全日本と箱根で維持していければ、結果が出ると思います」
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