【東京世界陸上・記者の推し選手】早大サークルから世界へ飛び出した小林香菜の未知数の伸びしろに期待 (3ページ目)
●小林香菜(大塚製薬)女子マラソン
たまたま早稲田大の校友向けのネット記事を目にして、小林香菜(大塚製薬)に注目するようになった。2024年1月の大阪国際女子マラソンで、当時大学4年だった小林は12位と健闘し、学生歴代3位となる2時間29分44秒の好記録をマーク。その記事では、早稲田ホノルルマラソン完走会というランニングサークル出身ながら、実業団選手としてのキャリアをスタートさせた小林が決意を語っていた。
おそらく大塚製薬に入社して間もない時期の記事だが、「将来的には世界レベルの走りができる選手になりたい」ときっぱりと口にしていた。サークル出身の選手が実業団で競技を続けること自体快挙と言えそうだが、小林は自身を客観的に見つめつつも、その時点で世界を見据えていた。
それから、あれよあれよと言う間にスターダムに駆け上がり、今年の大阪国際女子マラソンでは前年をさらに上回る活躍を見せ、日本歴代10位となる2時間21分19秒で日本人トップの2位と躍進し、世界選手権の女子マラソン日本代表に選出された。おそらく小林自身にとっても日本代表に上り詰めるまでは、想像以上に早かったのではないだろうか。
失礼ながら決して速そうには見えないフォームだが、高速ピッチが大きな武器だ。暑さへの対応に読めない部分もあるものの、学生時代には100kmマラソンを走ったり、山小屋研究会という登山サークルにも所属し槍ヶ岳や日本アルプスなどに登っており、タフさを備えている。
まだまだ未知数の部分も大きいだけに、思わず期待したくなる選手だ。マイペースを刻んでいた小林が、レース終盤にかけて一人、また一人と抜き去って入賞ラインに入ってくる――そんなイメージが思い浮かぶ。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
3 / 3

