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【東京世界陸上・記者の推し選手】男子競歩・山西利和は3度目にして最後の20km世界王者となり、復活の狼煙を! (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

●男子4×100mリレー

 2019年ドーハ大会以来メダルから遠ざかっている男子4×100mリレーも、久しぶりにメダル獲得の可能性が大きくなってきた。7月の日本選手権後には100mで世界陸上参加標準記録(10秒00)突破ラッシュとなるなど、機運が高まる日本男子短距離。4×100mリレーにおいてその原動力となるのは、5月の世界リレーの主力として3走で好ラップを出している鵜澤飛羽(JAL)と桐生祥秀(日本生命)の充実だ。

 アジア選手権と日本選手権200m優勝の鵜澤は、その2大会を含めて今季は20秒1台前半を4回出し、追い風2.1mの参考記録ながら20秒05も出して日本人初の19秒台突入を射程圏内に捉えている。さらに桐生も日本選手権100m優勝後、8月には8年ぶりの9秒台となる9秒99を出して勢いに乗っている。

 ふたりはともに3走のスペシャリストでもあるが、技術だけではなく精神力の強さも必要な難しい3走候補がふたりいる状況は大きな安心材料になる。ふたりは直線区間も好ラップで走れるだけに、走順のバリエーションも増えるのが強みになる。

 また10秒00を出して100m代表になった守祐陽(大東文化大)はどこでも走れるタイプで、終盤も減速しないのが持ち味だ。さらに10秒00を出しながらも個人種目の選考基準を満たせなかった栁田大輝(東洋大)も混合4×400mリレーメンバーとして選出されたことで、世界陸連のルール上、4×100mリレーに出場する可能性を残している。

 ポイントになるのは10秒3台のラップタイムで走れる1走を準備できるかだが、サニブラウン・ハキーム(東レ)が万全に近ければその務めは十分に果たせる存在になる。

 ただ、故障のために7月の日本選手権では予選敗退だったサニブラウンがどこまで状態を戻しているかは大きな注目点になるが、高2で10秒00を出している清水空跳(星陵高)を含めた全体的なレベルアップで、サニブラウン抜きでもメダル争いに食い込めそうな期待感もある。

 高校3年から日本男子短距離を牽引し、新たな世界に踏み込ませてくれた桐生の長年の努力に報い、そして次世代につなげるためにも、地元東京大会でのメダルはぜひともほしいところだ。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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