【東京世界陸上・記者の推し選手】男子競歩・山西利和は3度目にして最後の20km世界王者となり、復活の狼煙を! (2ページ目)
●三浦龍司(SUBARU)男子3000m障害
長距離でも技術種目といえるのが3000m障害。その種目で2021年東京五輪では7位になり、2023年世界陸上ブダペスト大会では6位、そして昨年のパリ五輪でも8位と世界の舞台で着実に入賞という結果を残してきた三浦龍司(SUBARU)も表彰台を狙える位置までステップアップした。7月11日のDLモナコ大会で、自身が持つ日本記録を6秒48更新する今季世界トップリスト3位の8分03秒43を出して2位になったことで、世界陸上への期待値がグンと上がった。
今季は4月のDL第1戦で8分10秒11を出したあと、足を痛めて練習ができない時も少しあったが、5月18日のセイコーゴールデングランプリ優勝で復活すると、その1週間後のDLラバト大会では8分13秒39で13位と徐々に調子を戻していた。
そして準備期間をしっかり取って臨んだDLモナコ大会では、ペースメーカーが8分切りのペースで引っ張り、それにパリ五輪王者のスフィアン・エルバカリ(モロッコ)が付く展開のなか、三浦は、序盤は後方に控えから徐々に順位を上げ、2000m通過は8番手でトップと8秒6差。だがそこから追い上げを開始して残り400mを切ったあたりで2位に上がると、ラスト200mを過ぎてからはエルバカリとの差を一気に詰めた。最後は及ばなかったが、0秒25差まで迫る終盤の強さを見せた。
最初から独走しての日本記録ではなく、世界トップランナーとの勝負を意識したレース展開のなかで出した記録でもあっただけに、本番での勝負に期待できる内容と結果だった。
日本の陸上走種目といえば、長い間「マラソンしか通用しない」というイメージがついていたが、持久力だけではなくスピードや身体能力も必要なこの種目で世界に対抗することは意味があるものだ。長距離=マラソンではなく、他種目を選択しても可能性はあるということを、後に続く選手たちに意識させるためにも、この種目の日本人初メダルが欲しいというのが本音である。
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